デュビアBlaptica dubia
メス成虫
オス成虫
2003 7/17 公開
2005  3/5   繁殖について追記
 アルゼンチンフォレストローチの方が知られているかもしれない。でも、学名からのデュビアの方が言いやすいし、アルゼンチンなんとか、というと、私はアルゼンチンバックブリーカーがどうしても頭に出てきてしまう。 
 
 台所の害虫と比べ、餌昆虫として何が良いか、それは「飛ばない」、「つるつるした面が上れない」、「大きくなってサイズが豊富」、「動きがとろい」、そして美しい。
 
 飛ばないことや、ガラスやプラスチック容器を上ってこないので簡単に飼育繁殖できて、いまや我が家の多くが口にしている。
 
 気をつけなければならないのは、掃除を怠ったり蒸れたりすると、ダニがわくこと。まあ、デュビアに限ったことではないが、私はわかした事がある。ダニがわくからと、今、蓋をしていない。たいがい出てはこないが、喧嘩か何かの拍子でごくまれに出ることもあるので、気の弱い家族がいる場合はお勧めできない。
 
 我が家はその点おおらかなので、何か逃げ出していても、「逃げ出してるよ」で終わる。一度、オスの大きなヤツが部屋に来た。「あれはどっちだ?」「うちの子だよ」と、手でつかもうとしたらものすごく素早く、近くでみたらうちの子じゃなかった。ぞっとした。うちの子じゃなければすごく汚い気がするのだ。
 
 けっこう幅が広いので、少し小さめのほうがヒョウモンには良い。大きすぎると食べられないだけでなく、必死で食べようとしてぐちゃぐちゃに噛むので体液が飛び散りあたりも汚くなってしまうし、なにより気持ち悪い。
 
ご飯のご飯 : 昆虫、魚類用の乾燥飼料、野菜・果実類、昆虫ゼリー
 (昆虫ゼリーは時としてゴキブリほいほいのように、初令の子供をくっつけてしまうので注意したい)
 
ペットとしての価値 : 成虫メスは美しい。また、子供たちは三葉虫のミニチュアのようでとてもかわいい。そしてシェルターをひっくり返して大パニックを起こすのは大変面白い。いやな臭気やうるさい鳴声もないので他人に迷惑をかけず、ペットとしても十分通用する。
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子供たち
母と新生児
卵鞘アップ
卵鞘を付けたメス
 デュビアのオスは1年くらい、メスは2年近い寿命をもつ。やはりオスは短命であるが、それでもコオロギなどと比べれば長寿である。
 彼らの繁殖は容易であるが、数匹から始めれば、ライフサイクルが長い分なかなか増えてくれない。また、卵生のローチと違い、メスは卵鞘を大事に持っているので産卵のペースはかなり遅い。そこを我慢してある程度の数を確保してからでないと、餌昆虫として使うには心もとない。しかし一旦増え始めれば、集団の心地よさも加担し使っても使っても減らないほど増加していく。
 
 デュビアは卵胎生であり、卵鞘をくっつけたメスが観察される。薄い鞘に包まれた卵は体外に長く伸び出し、これが一体どうなるかといえば再度メスの体内に取り込まれる。こうして卵はメスの体内で安全に孵化を待つのだ。
 
 ただし何らかのマイナス要因(栄養不良、過度の乾燥など)があれば卵鞘はメスの体から離れてしまう。うすっぺらな鞘は外気の中で卵を守ることは出来ず、これは流産である。
 
 やがてメスは真っ白な幼虫を生み出す。ここで面白いのは、生まれたての子供たちは暫く母親の周りにまとわり付く。母親もじっと動かない。Allpet Roachesによれば、多くの場合母親が高タンパク質の分泌物を腹部から分泌するという。まるで初乳を飲む哺乳類のように思える。
 
 子供らは真っ白な体が多少褐色を帯びる程度まで母親の庇護下にあるようだ。ただし外骨格が固まるにつれ、親を離れ本能の赴くまま散逸して独立生活を始める。
 
 なかなか興味深い生活史はペットとしての価値十分と思うのだが、あとは価値観の問題だ。
デュビアの繁殖について