日本国内の外国籍人口が、05年に200万人を突破し、最新(08年末現在)の調査では約221万人に至っている。国内で人口減少が進むのとは逆に、外国籍人口は着実に増加し、多様化している。長年、在日コリアンが最も多かったが、07年から中国人が1位となった。ちなみに3位はブラジル人だ。
一方、このような数値もある。03年に20組に1組だった国際結婚の比率が、06年には16組に1組となり、大阪市では、片方が外国籍のカップルがすでに10組に1組だ。社会が多国籍化していることにとどまらず、夫婦間で国籍が違い、生まれてきた子どもが二つ以上の国籍を有していることも決して珍しいことではなくなっている。
00年以降の「いざなぎ超え」の好景気を支えた中に、南米出身の日系人たちがいたし、アジアからの技能実習生や研修生が、地方の農漁村などを実質的な労働者として支えてきた。医療や福祉の現場においても、インドネシアやフィリピンの若者たちが看護、介護の新しい担い手として携わり、霞が関の中央省庁に設けられたコンビニでは、海外からの就学生や留学生たちがレジを打っている。日本社会は今、多様な国籍を持つ人々も含んで成り立っている。
総選挙で有権者が示した意思に基づいて、今週、鳩山新政権が華々しく出帆する。ぜひ、多文化共生に向けた社会ビジョンを示してほしい。長年の課題である定住外国人への地方参政権の実現や外国人の子どもの教育権保障、あるいは監視を強めている出入国管理行政の見直しなど、在日外国人政策を管理から共生へと転換させる必要がある。
鳩山氏が掲げる「友愛」の精神に、多民族・多文化共生の意味も含むのならば、外国籍住民も熱い支持を送るだろう。新政権は、人を大事にする医療・福祉を進め、人を育(はぐく)む教育を充実させ、人を生かす経済成長戦略を打ち立て、多様な人々が互いの違いを認め、生かしあっていける共生社会を築き上げてほしい。期待している。<文と写真、金光敏>
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■人物略歴
1971年、大阪市生野区生まれ。在日コリアン3世。大阪市立中学校の民族学級講師などを経て、現在、特定非営利活動法人・コリアNGOセンター事務局長。教育コーディネーターとして外国人児童生徒の支援などに携わる。
毎日新聞 2009年9月13日 地方版