【北京=野口東秀】日本の大陸棚拡張申請の根拠となっている沖ノ鳥島(東京都小笠原村)について、中国が「岩に過ぎない」と指摘し申請に反対している背景には、日本が同島を対潜ヘリコプターなどの自衛隊機が離着陸できるように造成すれば、中国海軍の外洋戦略にとって障害になることへの懸念があるようだ。
沖ノ鳥島は、周囲約10キロのサンゴ礁からなる日本最南端の無人島。満潮時には2つの小島が海面に出ているだけで、満潮時に海に隠れてしまうとEEZが失われる恐れがある。日本政府は周囲に防護壁を造るなどの保全策を取っている。
日本としては、今回の大陸棚拡張申請が認められれば、沖ノ鳥島だけでも日本国土に相当する約42万平方キロメートルのEEZで日本の主権的権利を及ぼすことができ、石油や天然ガス、レアメタル(希少金属)などの埋蔵海底資源の採掘権を行使できる。
これに対し、中国は国連大陸棚限界委員会に覚書を提出し、沖ノ鳥島について、国連海洋法条約で「大陸棚を持たない」と規定されている「人の居住または経済的生活を維持できない岩」と指摘、日本の申請を取り上げないよう求めた。
中国は5、6年前から、沖ノ鳥島周辺に船舶を派遣し調査を実施してきた。目的は資源探査だけでなく、海底の地形や水分調査など潜水艦の航行に必要なデータ収集とみられている。最近では6月に、沖ノ鳥島付近の海域で中国海軍の艦艇5隻が軍事演習のような活動をしていたとされる。
中国の軍事関係者は「(日本の申請が認められれば)西太平洋で日本の勢力範囲が拡大する」と指摘した上で、沖ノ鳥島は米軍拠点の「グアム島に近い」と言及した。
中国は、台湾有事などで米国の軍事介入に対抗するため、九州南方の東シナ海から台湾周辺海域までの「第1列島線」を制海権の防衛ラインとし、さらに外側の小笠原諸島とサイパン、グアム島を結ぶ「第2列島線」への進出を意図しているとみられている。
中国国防大学の張召忠教授は沖ノ鳥島について、「非常に重要な軍事戦略的位置にある。日本の技術があれば大きな島に改修し、航空機の離着陸ができるようにすることも可能だ」と懸念を示している。