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【富山】本が泣いている 入善町立図書館 『事故本』展示2009年9月13日
切り取り、書き込み…後絶たぬ被害本が泣いています−。入善町立図書館は書き込みや切り取りなどの被害に遭った蔵書28点を展示し、マナーを守るよう呼び掛けている。被害は他の図書館でも増えており、利用者のモラルがあらためて問われている。(平井剛) “逆ギレ”加害者も職員『結局はみんなが困る』「カッターで丁寧に切ったのでしょう。入手がほとんど不可能な大切な全集なのに」。一九七七(昭和五十二)年に発刊された「日本美術絵画全集」。館内の閲覧のみだが六ページが切り取られており、職員の中山樹子さんは残念がる。 展示した二十八冊には、たばこのヤニ跡や鍋を置いた跡が残っていたり、クイズの答えやアンダーラインが書き込まれたり。「事故本」と呼ぶ損傷は職員がある程度修復するが、ひどい場合は処分するしかないという。 県内の公立図書館でつくる県図書館協会によると、統計はないものの貸出件数の増加に伴い、落書きや切り取りなどの被害が増えているという。 単館では県内最多の七十五万冊の蔵書がある県立図書館(富山市)でも、「利用者が増えるにつれ、心ない人も増えている」と職員。被害防止のため職員が館内を見回ったり、雑誌の最新号はカウンターで貸したりしている。 分館を合わせると八十九万冊を抱える富山市立図書館では、最近は水ぬれの被害が目立つ。「雨の日に傘を持たずにうっかりぬらしたり、冬は雪道に落とすケースが多い」と職員。「故意ではないだけに厳しくも言えないところ」とこぼす。 各館とも、加害者が分かれば現物弁償を促す。だが「自分が借りる前からそうなっていた」ととぼけられたり、「自分を疑うのか」と激怒されることもあり難しいのが現状だ。 中山さんは「各館とも限られた予算の中で運営している。本を大切に扱わなければ、結局はみんなが困ると分かってほしい」と訴える。
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