福岡県警の警官による飲酒ひき逃げ容疑事件で、逮捕された小倉南署地域1課巡査部長の古賀達雄容疑者(49)が「酒を飲んで運転した。うそをついていた」と飲酒運転を認める供述をしていることが県警への取材で分かった。「事故当時の記憶はない」とも話しており、県警は泥酔状態だったとして26日、危険運転傷害容疑などで福岡地検飯塚支部に送検した。【山田宏太郎、島田信幸】
県警によると、古賀容疑者は「車は盗まれた。関係ない」と否認したが、26日の調べに「組織や上司に迷惑をかけると思い、自分の職を失うのが心配でうそをついた。申し訳ない」と飲酒運転を認めた。
事故の10時間後に採取された血液からは1ミリリットルあたり基準値(0・3ミリグラム)の4倍の1・27ミリグラムのアルコールが検出された。国立病院機構久里浜アルコール症センター(神奈川県横須賀市)によると、逆算すると事故当時には基準値の10倍の3ミリグラム程度だった可能性が高い。「泥酔状態と言って間違いなく、誤差はあるが1時間で日本酒7合を飲んだ状態に近い」という。
また、事件発生時ごろ、現場から約1キロ離れた路上で古賀容疑者の車と似た白い乗用車が、別の車と衝突事故を起こして逃げていたことが、県警への取材で分かった。県警が関連を調べている。
古賀容疑者が離婚後の悩みなどで酒に依存状態にあり、家族が「入院して治せないか」などと上司に相談していたことが、関係者への取材で分かった。県警によると、上司が家庭訪問し飲酒を控えるよう指導を続けていた。今後、日ごろの飲酒状況についても事情を聴く方針。
県警によると、古賀容疑者は数年前に離婚した。同居する母親によると「子どもに会えない寂しさから酒に逃げるようになった」という。捜査関係者によると、前妻や子どもに酔って会いに行ったり、電話をかけることがたびたびあったという。
県警によると、今年3月に肝機能の低下などで入院。6月中旬に2日間休みを取った際にも「家で健康を害するほど飲んでいる」などと母親から上司に相談があったという。【岸達也】
毎日新聞 2009年8月27日 東京朝刊