市立渋川総合病院の3階病棟。各病室にはしっかりと鍵が掛けられていた。04年4月以来、使用されていないという。同病院は154床を備えているが、実際に使用されているのは1日平均で40床余りだ。
04年度に始まった新臨床研修医制度の影響で、群馬大が内科、整形外科に派遣していた常勤医を引き揚げたことなどから、ピーク時に13人いた常勤医は9人に減少。入院患者の受け入れ能力も低下し、現体制で稼働できる病床は70床だけという。08年度までの累積赤字額は約7億5000万円。医療業務の収益率を示す医業収支比率は07年度55・7%で、県内13市町村立病院の中で最低だ。
付き添いで来院した近くに住むパート女性(58)は「移動手段が限られる70代、80代のお年寄りには地域の総合病院の存在は不可欠と思う」と語った。一方で「今の渋川総合病院ではどこまで患者に対応ができるか不安です」とも……。
充実した地元病院の存在は地域住民の安心にもつながる。勤務医不足は全国共通の課題だ。13日に選ばれる新市長に立て直しを期待したい。【杉山順平】
毎日新聞 2009年9月13日 地方版