政治

文字サイズ変更
はてなブックマークに登録
Yahoo!ブックマークに登録
Buzzurlブックマークに登録
livedoor Clipに登録
この記事を印刷

選択のあとに:09政権交代 東京外環道・練馬-世田谷間 建設賛否、割れる民主

 ◇住民、見直し要請へ

 経済危機対策の一環として今年4月に着工が決まった東京外郭環状道路(外環道)練馬-世田谷間について、建設反対派の市民団体は、民主党が新たな国土交通相を決め次第、事業の見直しを求める方針だ。本体工事の入札が延期された八ッ場(やんば)ダム(群馬県)を念頭に「議論の俎上(そじょう)に載せて」と訴えるが、民主党内でも賛否は割れており、新政権は難しい対応を迫られそうだ。

 外環道のうち、練馬区の関越道・大泉ジャンクションと世田谷区の東名高速をつなぐ延長16キロの区間は、環境悪化などを訴える地元住民の反対運動が根強く、70年から計画が凍結されてきた。

 しかし、東京都の石原慎太郎知事が地下化での建設を打ち出し、計画が動き出した。07年に大深度地下方式が決まり、今年4月、政府が経済危機対策の一環として整備・着工を決定した。

 ところが、先月の衆院選で民主党が圧勝し、建設に反対する地元住民や市民団体が勢いづいた。学識経験者や地元商店主らでつくる「市民による外環道路問題連絡会・三鷹」は今月6日に「建設予定地ウオーク」を開催、予想の2倍を超える約130人の参加者を集めた。壁画家で連絡会の世話人を務める松井エイコさんは「駅頭でビラを受け取ってくれる人が衆院選後に急増した」と話す。連絡会は、新しい国交相に見直しを求める意見書を提出する方針だ。

 マニフェストに「時代に合わない国の大型直轄事業は全面的に見直す」と明記した民主党。だが、外環道整備への対応は一枚岩ではない。連絡会を含む複数団体が7月の都議選や衆院選前に行ったアンケートでは、沿線7市区の民主党都議選立候補者11人(全員当選)の中で「早期に計画推進」が1人。「時間をかけて練り直すべきだ」が5人。「白紙に戻すべきだ」はゼロだった。衆院選立候補者6人(同)では、1人が推進と練り直しの両方を選ぶ「あいまい回答」で、練り直しを選んだのは1人。残り4人は無回答だった。

 無回答の一人の衆院議員は「八ッ場ダムの一件もあるし、見直される可能性も高い。『道路建設ありき』の時代でもない。ただ、都議会との調整もあるし、難しい問題だ」と語った。【馬場直子】

==============

 ■ことば

 ◇東京外郭環状道路

 東京、埼玉、千葉1都2県を結ぶ予定の都心から15キロ圏内を円状に囲む高速道路。全長約85キロ。1966年に都市計画決定され、練馬区から埼玉県三郷市の約34キロは既に供用されている。練馬-世田谷間が完成すれば、関越道と東名高速が12分で結ばれる。東京都などは、都心に入り込む車両が減り、環境が改善されると主張している。

毎日新聞 2009年9月12日 東京朝刊

PR情報

政治 アーカイブ一覧

 

おすすめ情報

注目ブランド