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【コラム】韓中FTA、台湾と競争だ(上)

 中国に進出している韓国企業は最近、税務調査に悩まされている。景気回復に向け、今年1兆1000億元(約14兆6000億円)規模の赤字予算を組んだ中国政府は、国内外の資本を問わず、ほとんどすべての企業を調査対象に含めているという。10年以上、支払わないことが慣例化し、既に事実上死文化していた税金まで規定を盾に催促されるという。しかし、特定企業を狙った調査ではないため、心理的な負担はそれほどでもない。

 韓国企業が内心最も懸念しているのは、中国と台湾が推進している経済協力枠組み協議(ECFA)だ。ECFAは関税の相互撤廃、商品、資本、労働力の自由な移動などを内容としており、事実上の自由貿易協定(FTA)に等しい。中台関係の特殊性を考慮し、名前を変えただけにすぎない。12月には中台間で4回目の交渉が行われる。

 台湾は中国市場でのシェアが10%前後で韓国とほぼ同じ水準にあり、輸出品目も韓国と最も重なるライバル国だ。台湾が中台関係の雪解けムードに乗り、韓国より一足先に中国とECFAを締結すれば、韓国企業は価格競争力の面で大きな打撃を受けることになる。

 実は、FTAは韓国が先に中国との接触を開始した。2004年11月にチリで開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で、当時のノ・ムヒョン前大統領が中国のコキントウ国家主席と韓中FTA締結に向けた民間共同研究を行うことで合意した。中国は過去5年間、米国より先に韓国とFTAを結ぶため、少なからぬ努力を行った。FTAは韓中首脳会談で毎回取り上げられたし、中国の最高指導者は公に韓中FTAに対する期待感を表明してきた。農業分野で大幅に譲歩する意向を示したこともある。

 これに対し、韓国は締結を最大限遅らせようという戦略だった。韓国政府は両国が地理的に近いため、農林水産業の分野で大きな被害が出ることを恐れた。経済界も、両国間の技術格差が依然として大きいため、スローペースでも構わないという立場だった。むしろ、中国製の安価な商品が韓国市場に押し寄せることを心配した。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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