10月に施行されるタクシー適正化・活性化法で、タクシー料金の認可幅の底上げが想定されている。初乗り(2キロ)500円の「ワンコインタクシー」の営業が認められなくなる可能性があり、業界は「利用客の支持を無視している」と反発。大阪府内の12社は15日にも、国交省近畿運輸局に抗議する。
同法は、規制緩和によるタクシーの供給過剰の打開が目的で、増車の際に審査が必要となり、新規参入の審査も厳格化された。安い運賃設定をしにくくするため運賃の認可基準の文言も変更された。
02年2月の道路運送法改正は、タクシー業界の新規参入と増車の規制を緩和。大阪ではタクシーが緩和前(01年度)の2万739台が2万2946台(08年度)に増加。運賃の認可基準も緩やかになり、新たに登場したワンコインタクシーも現在1992台が営業している。一方で乗客数はほとんど変わらず、1台あたりの1日の運送収入も03年度から3万円を割り込み、乗務員の平均年収も355万8400円(07年度)にとどまっている。
大阪タクシー協会(会員168社)の井田信雄常務理事は「人件費が7割を占める運賃を削れば、接客などのサービスにも影響が出る」として、規制強化の動きを歓迎。一方、ワンコイン八尾(大阪府八尾市)の大石益沢(みつさわ)理事長は「ワンコインの車が増えているのは利用者の支持が大きい証拠。圧力をかけて、業界から撤退させようとしている」と批判している。【鳴海崇】
2009年9月13日