国土交通省運輸安全委員会の坂本和紀・航空事故調査官は12日夜、報道陣の取材に応じ「(本体と尾翼をつなぐ)テールブームは通常では折れない。相当強い力が働いてへし折られた可能性が高い」と述べた。最初に機体と衝突した岩場は、テールブームが引っかかっている場所よりさらに高い位置との見方を示し「13日にも現場を確認して、衝突の痕跡を調べたい」と話した。
坂本調査官によると、テールブームは上下逆さまの状態で岩場に引っかかっていた。テールローター(回転尾翼)の2枚羽は大きく破損していた。
運輸安全委はこの日、事故直後の現場付近の映像を解析したほか、現場にいた登山パーティーの56~66歳の男女9人から事故の目撃情報などを聴いた。岐阜県警によると、衝突の瞬間を目撃した人はいなかったという。調査官3人は天候が回復すれば、13日午前に県警のヘリで事故現場を調査する。県警と協力して事故機の機体の回収も始める。
また岐阜県警は12日、操縦士の朝倉仁さん(57)の遺体を司法解剖した結果、死因は肋骨(ろっこつ)骨折などによる外傷性心破裂だったと発表した。心臓には特段の病変はなく、急病など突発的な体調不良による操縦ミスの可能性は低くなった。【三上剛輝、秋山信一】
毎日新聞 2009年9月12日 22時20分(最終更新 9月13日 0時11分)