京都の有名寺院で、タクシーの運転手に案内される修学旅行生の姿をよく見かける。私が中学の修学旅行で京都を訪れた約20年前は、タクシーを1日借り切って名所を巡るなんて思いもつかなかった▼当時の交通手段はもっぱら歩きとバス。地図を握り締め、散々迷いながら目的地にたどり着いたものだ。ぜいたくになったと思うが、学校側には生徒をきっちり管理できるという思惑があるという▼けれど、旅は勝手気ままにウロウロしたり、予測不能なドタバタがあったりしてこそ楽しいもの。教室から遠く離れた旅先でまで管理されてはたまらないだろう。生徒が詰め込まれたタクシーを見る度、そう思う。【広瀬登】
毎日新聞 2009年9月12日 地方版