2009年9月12日15時0分
ステーキレストランチェーン「ペッパーランチ」での腸管出血性大腸菌O(オー)157による食中毒で、原因とみられる「角切りステーキ」は普通の肉とは違い、端材を混ぜた「成型肉」で、中心部まで火を通す必要があった。客が焼く形式だったが、成型肉とはあまり知られておらず、十分な情報提供が必要との声が業界で出ている。
厚生労働省の11日のまとめで確認された患者は山口、奈良、兵庫、大阪、新潟、東京など11都府県の23人。疑わしい事例も含めると全国で患者は33人になる。
経営するペッパーフードサービス(本社・東京)によると、使われたのは岐阜県大垣市の協同組合が作った成型肉。8月3日製造分の1ロット(2560キロ、最大で2万3千食分)が関東から中国、四国の約100店に出荷され原因となった可能性が高い。
成型肉は、ブロック肉を切ったものではない。全国食肉事業協同組合連合会によると、たんぱく質などの結着剤で肉の端材や内臓肉などを混ぜて作るものや、輸入牛などに和牛の脂肪を注入して味を良くし圧力を加え形を整えるものがある。業務用のほかにスーパーなどで市販もされている。
ペッパーランチの角切りステーキも、主に豪州産牛肉を使い様々な部位の端材を混ぜ成型しカットしていたという。一辺2・3センチのサイコロ状の生肉を260度の鉄板の上にのせて出し、客が自分で焼く形式だった。
普通のステーキは、サーロインやヒレなど牛の筋肉にあたる部分が使われる。O157は筋肉内部には存在せず、たとえ表面に菌がいたとしても食べる時に表面を焼き、熱で菌を殺せばいい。レアで食べられるのはこのためだ。
一方、成型肉は細かくした肉を混ぜ合わせるため、内部に菌が入っている可能性がある。01年にも成型肉のステーキでの食中毒があり、食品衛生法は十分な加熱が必要と表示するよう義務づけている。