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黒字6、赤字2企業 大阪市公営・準公営08年度決算

2009年9月10日

 大阪市は9日、公営企業会計と準公営企業会計の2008年度決算を発表した。単年度収支で、高速鉄道(地下鉄など)など6会計が黒字、自動車運送(バス)など2会計が赤字となった。中央卸売市場事業会計は、資金不足比率が約199%に達し、財政健全化法に基づく経営健全化基準(20%)を超過するため、年度内に経営健全化計画を策定しなければならない。

■市営交通

 自動車運送(バス)事業会計は6億円の赤字。高速鉄道(地下鉄など)事業会計で124億円の黒字となり明暗を分けた。ただ、昨年秋以降の景気後退の影響で、1日当たりの乗車人員はバスが18万4千人(前年度比1万6千人減)、地下鉄などが235万5千人(同2万6千人減)と、どちらも減少。前年度に比べると年間92億円の収支悪化となっている。

 バスは、人件費の縮減などで前年度より9億5千万円の収益改善を達成したが、158系統のうち赤字系統が121と厳しい状況。しかし07年度決算では29・8%だった資金不足比率は、高速鉄道から53億円の出資を受けたことで6%にまで低下。経営健全化計画の策定を回避した。

 市営地下鉄の経常収支は、124億2千万円の利益となったが、前年度に比べると101億2千万円の収支悪化。堺筋線は、天下茶屋駅の乗降客の増加などが起因し、黒字路線に転換。乗客数は、ほかに谷町、千日前、長堀鶴見緑地、今里筋の4路線が前年度に比べて増え、ドル箱路線の御堂筋、四つ橋、中央の3路線は減った。

■水  道

 給水収益は、不景気に伴い多量使用者の需要が減ったことから前年度に比べ2・2%減となったが、人件費の抑制などが奏功し、経常利益は69億円を計上。これに、阪急北千里駅北側の土地の売却などで得た特別利益を加えた収支差し引きは、前年度を52億円上回る126億円の利益となり、7年連続の黒字となった。

 工業用水道の収益は、受託工事収益が増加する一方で、給水数駅が減ったため、前年度比2・1%の減。ただ、東淀川浄水場を遠隔操作として委託料を減らすなど経費を軒並み縮減したことで前年度に比べて1億2千万円の収支改善となった。

■市民病院

 市立4病院の収支は、経営健全化を図るため一般会計から100億円の補助を緊急措置で受け、95億3千万円の黒字にした。費用は、人件費の削減などで前年度比2%減と改善するものの、経常損益は4億7千万円の赤字。収益を支える患者数が、医師不足などにより、入院が同8・6%減、外来が同8・7%減と5年連続減少しており、厳しい経営環境が続いている。

■中央卸売市場

 資金不足額が126億6千万円で、財政の健全性を示す資金不足比率が約199%と、基準値をはるかに上回る深刻な状況。年度内に経営健全化計画を定める。商品の取り扱いをめぐる数量と金額は緩やかな減少を続けており、数量は前年度比1・7%減の93万3千トン、金額は同6・4%減の3475億4千万円。経営収支は13億円の赤字だった。

■港  営

 世界同時不況の影響で入港船舶数や貨物の取扱量が減り、施設の修繕で費用が増えたものの、港湾施設の提供事業では13億7千万円の黒字。大阪港を埋め立てて土地売却などをする事業でも、収益性の高い咲洲地区での土地売却が進んで1億6千万円の黒字と、港営事業全体で15億3千万円の黒字だった。

■下水道

 収益は、下水道使用料や一般会計補助金が減り、782億3千万円と前年度比5・1%減だったが、費用は、人件費や支払利息の減少で749億4千万円に抑え、33億円の黒字を確保した。