民主が当確のバラ埋め尽くす／衆院選

　白いボードはまたたく間に赤いバラで埋め尽くされた－。民主党が圧勝し、悲願の政権交代を確実にした。「政治を変えなければならないという国民の思いが結実した」。全国遊説で、官僚主導型から国民参加型政治への転換をひたすら訴えた鳩山由紀夫代表。真夏の列島を吹き抜けた“民主旋風”の手応えに、顔をほころばせた。

　東京・六本木の民主党の開票センター。午後９時半すぎ、妻幸さんが選んだという金のストライプ柄の“勝負ネクタイ”を締めた鳩山代表が会場入りした。遊説で日焼けした顔を引き締めたまま。

　周囲に促されて正面ステージに上がり、小沢一郎代表代行と全候補者名が書かれたボードに１つ目のバラを付け、笑顔で労をねぎらい合った。ボードには続々と赤色のバラが咲き乱れる。

　選挙戦で鳩山代表は、飛行機、チャーターヘリなどを駆使して、２８都道府県を遊説。ノーネクタイのクールビズ姿で臨んだ麻生太郎首相とは対照的に、炎天下でもネクタイにスーツ姿で持論を切々と説くスタイルを貫いた。

　保守の牙城とされた地方からは、変化への渇望感が多く聞かれた。公示３日後の鹿児島市。鳩山代表が「政治は弱者のためにある。自民党は長期政権の中で、政官の癒着に埋まってしまった」と訴えるのを見ていた同市の無職男性（６８）は「官僚丸投げの政治をやめないと。チェンジ、チェンジ、大チェンジだ」ときっぱり。

　２５日の福田康夫前首相の地元群馬県高崎市。鳩山代表の演説に、同市の自営業大町桂一さん（６０）が「比例代表の投票用紙には『政権交代』って書きたい気分」と興奮気味に語った。公明党支持という３０代の男性は「どこに投票するか揺れている。鳩山さんはインパクトがある」。

　日を追うごとに高まる変動のうねり。選挙戦最終日の２９日夜、東京・池袋駅前には数千人が押し寄せた。演説直後、アンコールを求める声に、鳩山代表は満面の笑みを見せた。（共同）

　［2009年8月30日22時56分］