OVA20周年(AX東京)
《未発表原稿》
AX東京 OVA20周年討論 レジュメ(案)
2004.01.13 氷川
●ビデオの状況
・ビデオデッキの本格普及は1980~81年ごろ
・デッキ=20万円
・テープ=2000~3000円
・1982~1983年には高額のレンタルビデオ屋が開店
・レンタル代:定価の10%(1500円くらい)
・LD時代の予感(83年ごろか?)
・ビデオソフト商売の端緒
→「幻魔大戦」('83)は公開と同時にソフト販売
「ナウシカ」('84)にいたっては、LDを同時販売
●OVA前史
・70年代終盤:テレフィーチャー・アニメ形式が発生
・24時間スペシャル、日生など大スポンサー
・1982年のマクロスにも名残(1,2話の同時本放送など)
・エモーションレーベルの誕生
→厳選された作品群。内外、特撮への目配り。
それまではメーカー側のロジックだったのが、ファン寄りになった
・模型雑誌との連動開始(モデルグラフィックスの表4広告)
・バンダイ:2次商品→1次商品への転換
●OVAへの期待
・作家性の熟成 → もっと自由に作ったものが観たい
・コマーシャリズムからの解放 → アリバイとしての玩具不要論
・TVコードからの解放 → 暴力、セックスなどのアダルト描写
・権利の問題:作家への還元(実際には稀少)
・総じて「可能性」を信じていたのだが……
●ダロス(1983年)
・月面都市における階級闘争話
・戦後日本の縮図的な描写(三鷹事件の模写など)
・売れ線ねらいのデザインライン:安彦調、ガンダム声優など
・鳥海永行(ガッチャマン)+押井守(うる星)
・当時、押井監督は『うる星TV』と『ビューティフルドリーマー』の
三本建て体制
・作画のピーク→山下将仁のアクション、エフェクト
(スタジオぴえろは『ニルス』等の動物、生活描写派だった)
・HiFi以前。でも仕様はステレオ。
・30分7800円(6800円だったか?)
(Negative side)
・分割発売だった
→遅延に継ぐ遅延
→30分増えて、4部作になった
・話数順でない発売
→ストーリーよりも映像偏重
・難解なストーリー
(Point)
・バラまかれる薬莢 → 「マトリックス」への影響
●メガゾーン23part1(1985年/3)
・23=東京23区
・美樹本 晴彦+平野俊弘+石黒監督
(マクロス人気を引っぱる形で)
・バイク変形
・バーチャルアイドル
・主人公が負ける蹉跌の物語
●魔法の天使クリィミーマミ ロング・グッドバイ(1985年/6)
・「永遠のワンスモア」84/10 総集編+後日談
・人気作品の続編をビデオで(の走り)
・映画撮影のバックステージもの
→立体物展開とのマッチング(B-Clubなど)
・スタジオぴえろ+望月智充監督
伊藤和典+高田明美
(押井監督もモデル出演)
●戦え!イクサー1(1985年/10)
・立ち上がった市場の受け皿的作品
レンタル屋 → アダルトとスプラッター
マンガで美少女エロ → レモンピープル(久保書店の出資)
・作画で肉と粘液が描写可能に
・平野俊弘が監督:特撮感覚の横溢
・音楽:渡辺宙明
●メガゾーン23part2(1986年/5)*劇場(落ちた)
・梅津泰臣にキャラが変更。監督は板野一郎。
・具体的ブランド描写の走り:ビールがハイネケン、バドワイザーなど
・アダルト志向の強化(ベッドシーンが劇場のみでカット)
・グロテスク描写
●ガルフォース(1986年/7)*劇場
・園田健一キャラ
・アートミック全盛期
・美少女しかいない設定
・動物的ヒロインの走り
●ブラックマジックM-66(1987年/6)
・北久保弘之監督
・士郎正宗:原作者のこだわり(直筆コンテ、ナウシカの影響)
・リアリズム作画の端緒(沖浦啓之氏)
●トワイライトQ 迷宮物件FILE538(1987年/8)
・トライライトゾーン+ウルトラQ-ウルトラゾーン
(日本のアウターリミッツ=ウルトラゾーン)
・ディーン制作
・背景を写真加工:後の写実的背景の先がけ
・虚実混淆の物語
●機動警察パトレイバー(1988年/4)
・86~87年ディザースターからの回復 → ブロックバスター
4800円、CM入り
・30分 全6話フォーマットの確立
・限りなくTVアニメに近いレベル、尺、内容
・クリエイター集団:ヘッドギア
・押井守監督、第二の出世作
●トップをねらえ!(1988年/10)
・パトレイバーとのコンペティション
・庵野監督デビュー作
・オタク的要素の集大成 → SF風味
ガイナックスの芸風まんま(ダイコン以来)
●ジャイアントロボ(1992年/7)
・『宇宙戦艦ヤマト』の末裔
・小林誠メカ
・今川泰宏演出
・レトロキャラ+荒々しいアクション
・完結までに6年がかり
●天地無用!魎皇鬼(1992年/9)
・AIC作品
・思わぬ伏兵的にヒット
・第二世代『うる星やつら』的要素
・女の子回転寿司状態、温泉話などなど
90年代中盤以後のギャルアニメ、ギャルゲーの雛形
・複雑多岐な続編(何本あるんだ?)
●青の6号(1998年)
・フルデジタル、メカフル3Dポリゴン、5.1ch
・究極の「ハイターゲット」作品か?
・前田真宏監督
・GONZOの方向性を決めた作品
以上です。
【初出:AX東京 2004年1月 トークショー用のレジュメ】
※これをもとに、壇上では井上博明氏と掛けあいでトークを行いました。作品名の上がっているものについては、編集済みのビデオを流しながらでしたし、通訳が入ったりする関係で、まったくこのとおりには進行していません(笑)。メモの開陳で恐縮です。
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