民主「高速無料化」の経済効果…国交省が隠蔽か
2009/03/06 20:59更新
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■「7兆8000億円」試算も
民主党が主張している高速道路無料化の経済効果について、民主党が国土交通省ぐるみで隠蔽していたと指摘している資料の全容が、6日までに明らかになった。それによると、経済効果を、国会で同党の馬淵澄夫衆院議員が示した2兆6700億円を上回る7兆8000億円とする試算もあった。あまりにも大きな数字だけに、隠蔽説が真実味を帯びてきた。
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記事本文の続き 問題となっているのは国交省所管の財団法人「計量計画研究所」(東京都新宿区)が作成し、2008年3月に同省に提出した「平成19年度高速道路料金割引社会実験効果推計調査検討業務」の「報告書」。同省が約6000万円の随意契約で発注したもので、高速料金の割引率に応じて道路利用者が受ける便益などの試算が載っている。
国交省に提出された報告書には3割引と5割引のデータしかなかったが、馬淵氏が20日の衆院予算委員会で、関係者から入手した10割引(無料化)した際のデータが記載されている資料を示した。
金子一義国交相は25日、「研究の途中段階で無料化の効果も検討していた。精査して速やかに国会に提出する」と述べ、当初は10割引のケースも載っていたが削除されていたことを認め、国会に提出することを表明した。
数字としては、利用者が受ける1年間の便益は、3割引が5200億円、5割引が1兆2000億円、10割引が2兆6700億円。別の試算では、3割引で1兆7000億円、5割引で3兆2400億円、10割引で7兆80000億円とするものもあった。いずれも、効果が最大となる10割引に関するデータは、報告書には載らなかった。
また、国交省に提出された資料には、10割引のケースでだけ効果が高く、3割引や5割引では効果が低いと試算されていた道路についても、効果が「高くなっている」と誤って記してあり“ボロ”も出ていた。
ちなみに、政府は08年度第2次補正予算案に、ETCを利用した乗用車の「土日祝日上限1000円」と「平日昼間3割引」を盛り込んだ。さらに昨年12月には、来年度からの10年間に計2兆5000億円の道路財源で、料金引き下げの継続などを閣議決定した。国交省によれば、これは3割引に相当するという。
報告書は値引き幅を決めるための、背景データとなったわけなのだが、なぜ、10割引だけ消されていたのか。
財団法人には国交省OBも役員として天下っており、馬淵氏は夕刊フジの取材に対し「研究所が独自に消したとは考えにくい。国交省が削除を指示した可能性が高い。高速道路無料化のほうが経済効果が高いことが分かったが、これは民主党の政策なので表面化することを避けた。また、無料化することで、国交省が差配できる予算の財源である高速道路使用料がなくなるのを恐れた、省益の側面もあるだろう」とコメントし、国交省による隠蔽の可能性が高いと指摘する。
一方、報告書を発注した国交省国土技術政策総合研究所は、「10割は研究の一環として行っただけで、途中経過だ。調査した3割と5割について報告書が出てきた。書かなかったことについては指示はしていない」としている。
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