アフガニスタンの星を見上げて

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フルグラ・コフィ 旅/政治 ☆☆☆ 小学館 1,000円   目次へ

アメリカに改めて蹂躪される事で世界の中でも認知度を高めた感があるが、古来より文明の交差点として幾度となく東西の部族が征服しては忘却される繰り返しの舞台には、どのような人の生活があるのだろうか。本書が出版された当時は、国民国家を作ろうとして内戦が続き、この回廊を通ろうとする旅人にとっては憧れの地域だった事を思い出す。

モスク内でおならをしてはならない話 おばあさんの話 P22
あるときモスクの中でおならをしてしまった男がいたんだよ。その男はね、あんまり恥ずかしい思いをしたので、家族や村を捨てて行方をくらましてしまった。それから五年後、やっと男は村へ戻って来た。でもね、村の人は決して忘れなかった。たまりかねた男は、ふたたび村をとびだしていった。それっきり、二度と男は戻ってくる事はなかったんだよ。

三日月には希望という意味がある。家族が離れているときは三日月に向って祈る習慣があった。(P71)
おばあさんはコーランを、ジョジョニおばさんはボールにいっぱいの水を、そしてニルファは手鏡を持って・・・見送りに来てくれた。コーランには神様の恵み、水は無事に生きられるように、鏡には明るく輝く未来のために、という意味が込められていた。

フルグラは本書成立時で中学2年、旅の道中で何人もの友が死んでいく、そんな旅があるとは思わなかった。それから10余年、彼は生きているだろうか。