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レコードやのアイドルな日々

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桜ふみ 5th [FORTE]

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2006-02-10 [長年日記]

今週の順位

秋元康氏は某誌のインタビューで「本当は、半年くらい彼女たちに苦難の道を歩ませたかったんですけどね。」と語っているそうですが、1stシングルは2万2千枚余の推定枚数とともにオリコン初登場10位をたたき出しました。サウンドスキャンでは4万枚余で週間2位(!)というインディーズの新人としては型破りな順位となっています。

ところが、プラネットでは30位以内に影も形もありません。ここだけの話ですが、50位以内にもありません。独自に得た情報によりますと、推定枚数は4桁。他社では10倍20倍レベルの数字が出ているのに、です。

この落差はどこで生まれたのでしょうか。言うまでもなく、「店頭での即売の数値がどれだけ反映されたか」にあります。オリコンの場合は調査対象店が公開されていますが、タワーレコードやHMV等、対象店が多数含まれています。逆に、プラネットの調査対象店には(私の知りうる限り)発売初週に即売を実施した店は1軒も含まれていません。

つまり、今回のキャンペーンは「オリコンで上位を獲得するため『だけ』に組まれたもの」と言っていいでしょう。広くアピールして一般的に売れたのであれば、調査会社3社の結果にここまで大きな落差は生まれません。

なぜあそこまでして上位を取らなければならない?

そりゃもちろん、上位を取ることは大事です。今後のマスコミや広告代理店のウケが違うでしょう。「売るための努力」は必要だと思います。

ですが、秋元氏の冒頭の発言からするとそこまで「作為的な順位取り」をする必要を認めていないのではないでしょうか。結局のところ、「急いで結果を出さねばならない」事情はなんだったのでしょうか。

今回のようなケースは、売ろうと努力した結果売上が増えて上位に入ったのではありません。「オリコンで上位に入ること」が目的であって、ぶっちゃけ他のチャートなんかには目もくれていない、極端な話「順位さえ良ければ実際売れたか売れなかったかは全く問題ではない」ように見えます。

陳列する側だって大変なんだよ

地方、あるいは都市圏であっても郊外やベッドタウンにある中小店では、物理的なスペースも限られており、いきおい「ぽっと出の海のものとも山のものともわからない新人」を盛大に陳列するスペースなどありません。

もちろん、中小店でも、そんな新人を10枚20枚仕入れて応援しようという店は存在しています。本人が来てイベントするわけでもなく、他店と違った特典がつくわけでもない、それでも仕入れようとしてくれる店はあるんです。

っていうかリストを出してもいいくらいなんですけど、さすがにそれをやっちまうと業務規則に違反してわたくしが職場を追われかねないのでできないんですが。

ところが、「桜の花びらたち」に関しては、条件は悪くないんですけどろくに販促物もなく…POPがふたつとポスターが1枚。オフィシャルブログに某大型店の写真が出てましたけど、あんなバカでかい派手な陳列しようと思ってもできやしません(笑)。20枚入れてああいう店の半分でも販促物があれば結構いい平台が作れるんだけどね。ポスター1枚じゃあ…。

ちなみに、メジャー会社の有力新人だと、20枚仕入れの場合は店頭で放映する用PVのVHSかDVDがついたり、お客さんへの特典用で枚数分グッズ(主にポスターかステッカー)がついたりするのがごくごく一般的です。ですから、「ロクにない」という表現はさほど外れてないと思います。

結果として、ほとんど動きがない。

そして、プラネットの数字に、それは出た。

これは、当然の結果。必然です。

店頭イベント

私は「歌うたいのくせに歌いもしないでCD売るだけの販促イベントは本道を外れている」と常に考えています。今は店舗内に試聴機が置かれて、音を聞いてから買う時代です。ましてやCDが売れない売れないと言われ続けて早くも数年になります。

AKB48の場合も、年末の台場のキャンペーンはいい顔見せになったと考えています。出かけた先で「たまたま」歌っている姿を見かけた人が、数日後あるいは数ヶ月後に地元の店でCDを見かけて…なんてケース。あまり多いとは言えませんが、そういう話は聞くんですよ。経験則として「ある」んです。

では、今回のローラー作戦はそういう需要を喚起したでしょうか? 人数も分割、歌を歌うわけでもなく、廻りには固定客が群れて壁を作り…。(注:いや、気持ちはわかる。壁を作るな!とかそういう意味じゃないから今行ってる客のみなさんは誤解はしないでほしい。)

通りすがりの人が入り込む余地は、ゼロに等しいです。「なんだあれ?」で終わりじゃないでしょうか。

広いスペースで、一段高いステージに登って、18人でも19人でも歌って踊っていたら…人数だけでもインパクトありますし、同じ「なんだあれ?」でも感想は違ったものになっていたでしょう。

広告も出してる、テレビCMも出してる、だから買う人だっているだろうと言われるかもしれません。ですが、当たり前だけど「生で見た」というインパクトは非常に大きい。(って、専用劇場持ってるならそんなこと百も承知ですよね? でないと困ります。)

劇場の公演だって、最初は口コミで広がっていったんでしょ? 自分だって知り合いが続々と熱心に通うようになるのはどんなもんだろうって気になって見に行ったクチですもの。

もしステージが行われていれば、1曲でも2曲でも耳に触れていれば、何らかの形で「偶然」見た人の口から伝わっていく可能性があった。しかし、今回はそういう要素が皆無だった。

私は歌のない10箇所の即売よりも、オープンスペースでの1回のミニステージのほうが一般への訴求力は大きいと信じて疑いません。

結局のところどこへ訴えたかったんでしょうか

オフィシャルブログでは「男女問わず、子供からお年寄りまで楽しんでいただける劇場創りを目指しているのです。」なんてフレーズが出てきました。

今回のキャンペーンの打ち方は、本当にその精神と合致しているのでしょうか? 広く訴えかけるということを何かしましたか? 常連客から搾り取るだけ搾り取る、「搾取」と言われても致し方ないでしょう。「投資を死ぬほどしていて赤字だから搾取ではない」なんてのはおためごかしです。これを搾取と呼ばずしてなんといいますか(笑)。

商業主義と言うのが違うのであれば、「情報依存主義」でしょう。

雑誌にも出た、CMにも出た、電車内に広告を死ぬほど出した。でも肝心の歌を聴ける機会は作ろうと思えば作れたのにやらなかった。

以前某社のセールスマンが「まだ音はできていませんが、街頭ビジョンで○回放映しますしスポットCMも×GRP打ちますから、同様の宣伝規模だった△△と同等の売上があるはずです。」って言ったのを聞いて呆れました。良曲だろうが駄曲だろうがそんなことは関係ないと言わんばかりでしたので。

なんか、似たものを感じるんですよね。

GRP至上主義? 広告代理店っぽいですね。

「劇場へ来れば良い」のは確かだけど

「『ステージが見たければ劇場に来てください』でいいと思う」という意見もいただきました。ですが、今までAKB48をまったく知らなかった人に「見たい」と思わせる要素があったのでしょうか。

そりゃアイドルヲタク現場系な人なら来るでしょうよ。でも、大半の人はそうではない。「秋葉原へアイドルを見に行く」なんて行為はすごく敷居の高い行動です。そんな人たちにわざわざ秋葉原まで足を運んでもらうためのアピールになったのでしょうか。

それとも、現在劇場へ来ている実数数百人のお客さんだけ相手にしていればいいのでしょうか。

以前書いた通り、私は一度劇場へ行っています。そのときは「月に1回くらいは行ってもいいかな」と思いました。

その時からすでに1ヶ月が経過しました。

しかし、未だに「2回目」を求めないのは上記のような疑問を感じているから、です。

2週目に入って、ようやくステージのあるキャンペーンが始まります。

お手並み拝見、ですかね。

そうそう、ひとつ追加

20枚組は、商売としてアリだと思いますよ。

買う方が2万6千円の価値があると判断したら買えば良いと思います。

このことだけで「商業主義」とは言いません。

私が疑問に感じているのはどっちかと言えば「パフォーマンスを売り物にしている集団がパフォーマンスを見せないで物品を売るだけというのは職務放棄ではないのか」という部分ですね。

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