【ブリュッセル福島良典】欧州連合(EU)議長国スウェーデンのカールグレン環境相は1日、ブリュッセルで毎日新聞のインタビューに応じ、衆院選で圧勝した民主党の地球温暖化対策について「期待が持てる」と高く評価し、京都議定書後の対応を決める12月の国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)に向け、「国際交渉に弾みがつく」と述べた。鳩山政権としての新方針の決定を踏まえ、中国など新興国・途上国も参加する包括的な国際合意の形成を目指して、日本との対話と連携を強化する考えを強調した。
民主党は政権公約で「持続可能な経済社会」の実現を掲げ、(1)温室効果ガスの排出量を2020年までに1990年比で25%削減する(2)企業の排出量に上限を設け、過不足分を売買する「キャップ・アンド・トレード方式」の国内排出量取引制度を創設する--と約束している。排出量の削減幅を「20年までに05年比15%(90年比8%)」としていた麻生政権よりも大幅に踏み込んだ内容だ。
EUの削減中期目標が「20年までに最大30%」であることから、環境相は民主党の公約を「欧州の目標と極めて近い」と位置付け、「日本と緊密に協力する用意がある」と述べた。さらに、日欧の連携で「国際交渉に弾みがつき、他の先進国への刺激や、新興国への圧力になる」と指摘、米国や中国などに取り組み強化を促す波及効果が生まれるとの認識を示した。
EUはCOP15にあたり、(1)地球の気温上昇を「産業革命前から2度以内」に抑えるための具体的な温暖化対策(2)排出量取引制度の国際市場の形成--での合意を目指している。環境相は国際合意作りでEUと日本が「重要な役割を果たすことができる」と述べ、途上国支援などを含め温暖化対策全般について鳩山政権の環境相と意見交換をしたいとの意向を表明した。
毎日新聞 2009年9月2日 10時33分(最終更新 9月2日 10時39分)