民主党政権が実現すると、何がどう変わるか? 神保哲生

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大手メディアが決して報じない、
「メディア改革」という重要政策の中身

メディアの構造問題と「やれるものならやってみろ」

 記者クラブの開放を党代表が明言する一方、『民主党政策集INDEX2009』には、冒頭で挙げたように、クロスメディア(新聞社とテレビ局の系列化)の見直しや、日本版FCC(行政から独立した通信・放送委員会)の設立と総務省からの放送免許付与権限の剥奪、NHKの放送波の削減といった、メディアの世界における言わば「聖域」に踏み込んだ政策提言が続々と登場する。これらはいずれも自民党政権下では、ほとんど手つかずだった問題だ。

 筆者は日本のメディア業界がこうした構造的な問題を抱え、そのために国際競争力をつけることに失敗しているばかりか、ジャーナリズムの公共的な機能さえも果たせなくなっていることを、機会あるごとに指摘してきた(詳細については拙著『民主党が約束する99の政策で日本はどう変わるか?』の第18章を参照されたい)。

 特に「記者クラブ」、「クロスオーナーシップ」(新聞とテレビの業際保有の英語表現。民主党は「クロスメディア」と表現しているが意味は同じ)、「再販売価格維持制度」(メーカーの定めた定価での販売を小売業者に義務付ける制度。日本では独占禁止法で原則禁止されているが、例外として新聞や書籍などに認められている)のメディア特権3点セットが、産業としての、そしてジャーナリズム機関としてのメディア業界をダメにしているとして、メディアの構造改革の必要性を訴えてきた。

 最近筆者はこれに、政府が放送免許を直接付与する制度を改めるための「日本版FCC=独立行政委員会」問題を加え、メディア構造問題4点セットとして、問題提起を行っている。

 政府が放送免許を直接付与している現在の制度は、どう考えてもおかしい。報道機関を兼ねる放送局にとって、政府は監視対象のはずだ。その政府から免許を頂いていては、ジャーナリズムの機能など最初から果たせるはずがない。

 しかも、日本では先進国の多くが規制をしているクロスオーナシップを認め、放送局利権を新聞社に与えてしまっている。そのため、本来であれば免許も不要で権力から自由であるはずの新聞社までが、政府に取り込まれる余地を自ら作ってしまっている。

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著者プロフィール

神保哲生
(ジャーナリスト)

1961年生まれ。コロンビア大学ジャーナリズム大学院修士課程修了。AP通信などを経て1994年独立。以来、ビデオジャーナリストとして活躍。2000年1月、日本初のニュース専門インターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』を設立し代表に就任、現在に至る。

この連載について

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