2009年9月11日11時45分
農林水産省は11日、職員が無許可で組合活動に従事していたヤミ専従問題で、刑事告発を見送ることを決めた。この日の同省法令遵守(じゅんしゅ)委員会の結論を受けたもので、理由について石破農水相は記者会見で「財産的損害は回復され、重い処分を行っていることなどを総合的に判断した」と説明した。
委員会がまとめた意見書によると、ヤミ専従者や、それを認識しながら給与の支払いを認めていた上司らは「詐欺罪か背任罪が成立する」と指摘した。しかし、習慣化され、関係者のみの責任とは言い難い▽全農林労働組合が給料分などとして約34億円を返納した▽反省して再犯の可能性がない――などを告発見送りの理由に挙げた。
ヤミ専従は社会保険庁でも発覚し、厚生労働省は本人と上司ら計40人を背任容疑で東京地検に告発した。対応の違いについて「社保庁の事案は職場の席につかず、全く勤務実態がないが、農水省の事案は多くの場合、いくぶんかの仕事をしている」とした。
マスコミからの取材に対し、改ざんした文書で虚偽説明した前秘書課長の刑事告発を見送った理由としては、約1カ月半後には正しい資料で是正した▽処分内容が重い▽社会的制裁を受けた、とした。