ネガティブ・アプローチは、受け手に理解力(感受性)を要請するいわば“高度”なやり方です。メッセージの受け手はネガティブの反対がポジティブであることを心得ていて、何が肯定されているのかを想像し、感情を動かします。
しかしやはりネガティブだけに、広告の印象として単刀直入な明るさや楽観性が欠けてくることは、避けられません。衆院選投票日の新聞の朝刊、自民党と民主党とがそろってパワフルな全面広告を出していました。気づいた方もいらっしゃるでしょう、比べてみると両者のヘッドコピーは、ネガティブとポジティブ、実に好対照をなしていました。
それはまさしくふたつでひとつの歴史的な広告でありました。
なお麻生総理は、敗北の“責任”を取って辞職することを即座に表明しました。そこで私たちは「責任力」という耳慣れない言葉には、二つの意味があったことを知りました。今回の総選挙は、自民党にとって最後まで皮肉な結果に終わったのです。