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佐藤恭一の“徒然”広告論「のれん ブランド 日本人」

ネットCMは衆院選惨敗の前触れだったのか?

 ネガティブ・アプローチは、受け手に理解力(感受性)を要請するいわば“高度”なやり方です。メッセージの受け手はネガティブの反対がポジティブであることを心得ていて、何が肯定されているのかを想像し、感情を動かします。

 しかしやはりネガティブだけに、広告の印象として単刀直入な明るさや楽観性が欠けてくることは、避けられません。衆院選投票日の新聞の朝刊、自民党と民主党とがそろってパワフルな全面広告を出していました。気づいた方もいらっしゃるでしょう、比べてみると両者のヘッドコピーは、ネガティブとポジティブ、実に好対照をなしていました。

 それはまさしくふたつでひとつの歴史的な広告でありました。

「日本を壊すな。」 日本を守る、責任力。自民党
「本日、政権交代。」 国民の生活が第一。民主党

 なお麻生総理は、敗北の“責任”を取って辞職することを即座に表明しました。そこで私たちは「責任力」という耳慣れない言葉には、二つの意味があったことを知りました。今回の総選挙は、自民党にとって最後まで皮肉な結果に終わったのです。

佐藤 恭一(さとう・きょういち)
1975年、慶應義塾大学卒、電通入社。コピーライター、クリエーティブ・ディレクターを経験。その間、50社を超える大手企業を担当し、主な広告賞を軒並み受賞。採用試験や新入社員教育の実施にも携わる。2004年に早期退職し、オリジナル雑貨の企画販売会社を設立。並行して日本初のドッグアート展「ドッグアート・エクス」を企画、運営。07年から桜美林大学の非常勤講師。里木陽市のペンネームで「そら ひと いぬ」(美術出版社)、「学生街の喫茶店はどこに」(アートデイズ)の著書がある。ブレイン・コミュニケーションズ所属。(写真:長谷川雅宏)
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皆様からお寄せいただいたご意見

おっしゃっているネガティブキャンペーンのパンフレットですが、封筒に入れて切手を貼って自民党本部に送り返してやりました。「見るのもおぞましいネガティブキャンペーン文書。お返し申しあげます。百害あって一利なしだと、ご忠告申しあげます」と、紙に書き添えてあげました。
日本人に限らずどこの人でも、よほど歪んだ人物でもなければ、誹謗中傷には良い印象を持たないはずです。子供の教育上も悪いので、ネガティブキャンペーンをする政党には教育問題を語る資格はないと思っています。
ちなみに私は96年の総選挙直前に結党されて以来の民主党支持者ですが、今度の総選挙は320議席以上取って自民党を100議席割れに追い込めたのが、新聞の議席予測記事による揺り戻しで取りこぼしてしまったと今、とても悔しく思っています。(寺尾淳)(2009年09月07日 17:50)

「日本を壊すな。」 日本を守る、責任力。自民党   
このヘッドコピーには笑いました。
小泉元首相の「自民党をぶっ壊す」が成就しつつあり、「日本型経済社会をぶっ壊す」まで実現していたからです。
前回選挙の大量当選で「郵政民営化」のメッキを施した構造改革は、リーマンショックで完全崩壊したのに麻生自民党は何の反省もなかったからです。
責任力などを主張しても、自民党議員の多くは小泉改革を無責任に支持したのですから大衆に見抜かれます。
デフレ不況街道まっしぐらのこの時期のネガティブキャンペーンは、更に無党派票を民主党に流れさせました。
同様に「公明党」は比例区重複立候補を絶ち、民主党総攻撃のネガティブキャンペーンで敵前強行突破をはかりましたが選挙区全敗という裏目に出ました。
「幸福実現党」は全敗しましたが、ポジティブシンキング路線が功を奏して小選挙区で100万票も獲得しました。
自民党再生は選挙のプロを配置して各選挙区の民情を掴み、今からドブ板活動を行い未来志向の行政改革の設計に取りかかるべきでしょう。
国会で何でも反対を続けるならば万年野党で、比例区全廃にでもなれば消滅の危機も訪れるでしょう。
民主党も奢ることなく、国民主体の行政改革に邁進することを期待します。(通りすがりの常識人)(2009年09月07日 16:53)

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