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<千葉県不正経理>「預け」は信頼の証し 協力の業者が証言

9月12日2時31分配信 毎日新聞

 「預け」は、県庁からの信頼の証し−−。千葉県庁の不正経理問題の端緒となった今年2月の元県職員の公金詐取事件で、元職員の「預け」に協力した業者が毎日新聞の取材に応じた。「協力を頼まれ、初めて県庁から信頼されていると実感できた。関係を深めれば、他部署へ異動しても仕事をもらえる」。職員と業者の不正を介した「持ちつ持たれつ」の癒着が、事件を生む土壌となったようだ。

 事件では、同一部署の歴代経理担当者3人が、架空請求で業者の口座へ振り込ませる「預け」を悪用し、県費をだまし取ったとされる。2人は有罪が確定、もう1人は公判中で、県の内部調査のきっかけとなった。

 事件にかかわった千葉市内の事務用品を扱う業者は、県職員から「消耗品で○○万円くらい作れ」と大まかな金額とともに「預け」を指示された。「職員は殿様のような存在。県と業者の間には暗黙の上下関係があり、逆らえない」。ファイルやノート、コピー用紙などを適当に組み合わせ、見積書、納品書、請求書の「3点セット」を仕上げて渡した。金額が高すぎると入札になるため、通常は10万円前後に抑えられていた。

 こうした手口について、内部調査を進める県行政改革推進室は「見積もりを取ってから発注し、納品後に請求書を受け取るのが本来の流れ。架空でも形式が整っていれば見抜けない」という。

 業者の作業がピークとなるのが、年度末の予算消化時期。大量の「預け」要請があり、社員だけではさばききれず、アルバイトを雇って書類作成に当たらせた。仕上げた請求書類は、数十センチの高さに積み上がるほどだった。

 業者は「結局は県庁の都合でいいように振り回されていると感じた」。だが、その一方で、10年以上続く県庁との取引は「民間相手のような激しい価格競争もなく、回収も確実で、ありがたかった」。特に「預け」については「県からの信頼の証しだった」とも語る。不正と知りつつ、職員との信頼関係を深め、職員の異動後もつながりを維持する手段だった。

 「預け」の商売上のうまみは、取材に応じた他社も同様に認識。「事務用品の関係業者の間で、『預け』は県と取引するための当然の習慣だ」と語る業者もいる。【斎藤有香、倉田陶子】

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余録:千葉県庁の6口伝

最終更新:9月12日2時31分

毎日新聞

 

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