市民が行政・議会・一部のネット族を監視するための辛口情報紙・東村山市民新聞
行政部判決と「りんごっこ保育園」の現状
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〈判決の衝撃〉
読者の方々は、東村山市といえば、1995年9月1日夜10時すぎ、西武新宿線東村山駅近くのビル上層階から何者かによって落とされ殺害された朝木明代議員殺害事件を想い起こされるだろう。
朝木明代議員は、翌日空路、高知での創価学会問題シンポジウムにでかけることになっていただけに、当時、国会でも取り上げられる重大事件となった。
しかし、この殺害事件とは無関係を強調する創価学会を一方的に擁護する関係者らは、未だになぜか「東村山デマ事件」と呼び、遺族や私を攻撃していることは指摘しておく必要があろう。
ところで、その後、裁判所はこの創価擁護ライターに対して、朝木明代議員事件に関して自殺説を否定した判決が確定した2005年5月13日付最高裁判決以降は「朝木明代議員が自殺したなどと書いてはいけません」と厳しく指摘しており、司法解剖鑑定書の記載事実などから、すでに殺害事件であることを前提として実行犯特定の段階に到達しているが、この事件の経過等はここでの主題からそれるので、私と故朝木明代議員の長女直子さんの共著『東村山の闇』(「第三書館」刊)、そして本誌2004年1月15日号に「新事実が明らかになった東村山事件」という特集記事が組まれているので、これらを参照して頂きたい。
ところで、本題の保育園関係事件の判決に戻ろう。
その衝撃的な判決は2月29日午後言渡された。すでにその日の夜、全国に次のようなインターネット版ニュース記事が配信され、翌日3月1日には、一般紙朝刊ローカル版にも同様の記事が掲載された。
議会決議が名誉棄損
東村山市に300万賠償命令
東京都東村山市の保育園の園長が、「保育環境が悪い」という内容の市議会の付帯決議で名誉を傷つけられたとして、市に500万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決で、東京地裁は29日、300万円の支払いを命じた。
定塚誠裁判長は「ほかの保育園と比べ劣った環境ではなく、決議は真実ではない。決議が載った広報紙が全戸に配布され、原告の社会的評価は低下した」と指摘した。
その上で「原告に対する批判的対応は、通常考えがたいほど執拗。決議は、公正な議論の場である議会としては考えられない何らかの強い感情的確執、嫌悪感に基づいて行われたことさえうかがえる」と市議会の姿勢を批判した。 判決によると、保育園は2004年9月に都が設置を認可。市議会は06年3月、予算の付帯決議で「市は保育園に設備の改善などを強く指導し、改善がない場合は、都に認可の再考を働き掛けること」「園長に対し、地域の関係ネットワークに参画し、連携を深めるよう指導すること」などと決議した。(2008/02/29 22:01 【共同通信】)
この報道内容は、時事通信、産経のネットニュースでも同様だったが、極めて注目されるのは、この東京地裁民事3部(行政部)の判決が、「原告に対する批判的対応は、通常考えがたいほど執拗。決議は、およそ民主主義を支えるべき公正な議論の場である議会としては考えられない何らかの強い感情的確執、嫌悪感に基づいて行われたことさえうかがえる」という文言を使用し、東村山市議会に対して最大級の痛烈な批判をしている点である。
裁判所が「およそ民主主義を支えるべき公正な議論の場である議会としては考えられない・・・」と痛烈批判した本件附帯決議とは、一体何だったのか?
〈1年半も開園が遅れた原因とは・・・〉
ところで、本誌は、すでに、この私立保育園(りんごっこ保育園)の問題を「『怪死事件』の東村山市で公明市議らが認可保育園妨害工作」(2005年3月1日号)というタイトルで取り上げている。
すなわち、国から市の担当職員が是正を指示されるほど東村山市には200人を超える多くの保育所入園待機児童がいた。この保育園の園長は、これら待機児童解消のため、税金を一円も使わずに、金融機関から融資をうけ保育園新設をめざそうと懸命の努力をした。
ところが、想像すらできない事態が起きたのは、すでに東京都保育所管課が基本設計を了承した園舎が完成し、必要な職員らを採用し準備を整えた開園直前の2003年3月末の段階だった。
どの認可保育所も、国、東京都から市を通して保育に必要な運営費が交付されるが、公明党市議らが中心となって東村山市当初予算からこの保育園関係予算だけを全額削除して、東京都知事がこの保育園を設置認可しようとしたのを妨害しとりやめさせたのである。この結果、この保育園は開園できない状態が1年半に渡って続き、設置者園長は莫大な損害を被った。
このため、設置者園長は、東京地裁に救済を求めて東村山市ほかを提訴したところ、裁判所は「法定の『設置基準』を満たしている保育園を認可しないことは許されない」として、初回口頭弁論からわずか半年たらずで、職権和解により東京都知事および東村山市に対してこの保育園の設置認可を勧告した。
この「りんごっこ保育園」は、児童福祉法45条1項に基づく法定の「設置基準」を全て満たしていることは東京都や東村山市も認めていたから、都及び市は裁判所の勧告を受け入れ、2004年10月、この保育園は開園した。にもかかわらず、公明党を中心とする東村山市議会与党会派らは、本件保育園の開園後の運営をなおも執拗に妨害しつづけた。そして、これら保育園の開園妨害や運営妨害の背後には、創価学会本部の意図が働いているという経過(2003年4月23日付「聖教新聞」4面掲載)を報告したのである。
〈衝撃判決に到るその後の経過〉
今回、報告するのは、前記記事(2005年3月1月号)掲載後の経過である。
先ず、前記記事の直後の2005年3月25日、公明党を中心とする東村山市議会与党会派らは、新年度当初予算の議決後、この保育園と園長を名指しして「改善がなければ、保育所設置認可の取消をするよう認可権者東京都知事に働きかけの必要があるほどに劣悪な保育環境にある」旨の「附帯決議」(第1次)を決議した(当時の議長は川上隆之公明市議、前記記事にも掲載)。
さらに、その1年後の2006年3月24日に、2006年度当初予算を議決した後、川上隆之公明市議が中心となって、設置者園長個人の氏名を公表して一方的に非難し、第1次附帯決議(2005年)と同旨の附帯決議(第2次)を、再び議決し、この全文を「市議会だより」を掲載し、2年連続して東村山市内の約6万の全世帯に配布した。さらに、かれらは、2004(平成16)年6月8日、あたかも設置者園長には保育所設置者としての資質に調査すべき問題があるかのように主張し「りんごっこ保育園設置者の資質及び特定議員の関与に関する調査特別委員会」という名称をつけて「特別委員会」を市議会内に設置し委員長には木村芳彦公明党市議が就任した。この委員会の名称自体が園長の社会的信用や評価を低下させるとともに、同特別委員会で、園長個人や支援した私達に対して口汚い攻撃を、繰り返したのである。
園長は、保育園が法定の設置基準を満たして認可されているにもかかわらず、あたかも改善が必要な「劣悪な保育環境」にあると執拗に攻撃し続けた前記附帯決議や特別委員会などによって、自身と保育園の社会的信用や評価を著しく低下させたとして裁判所に救済を求めた結果、今回の判決が言渡されたのである。
以上の経過をみれば、判決が「原告(園長)に対する批判的対応は、通常考えがたいほど執拗。決議は、およそ民主主義を支えるべき公正な議論の場である議会としては考えられない・・・」として、公明市議らを中心とする東村山市議会与党会派を痛烈に批判した理由も、そして500万円の請求に対して300万円の高額賠償を命じた理由もすでに明白で、多言を要しない。
〈未だに続く保育園内外の動き〉
前記記事(2005年3月1日号)でも指摘したが、判決が痛烈批判した本件附帯決議の中心となった公明市議らの動きは、創価本部ぐるみだという証拠がある。2003年4月23日付「聖教新聞」4面に、この「りんごっこ保育園」新設計画について、「なぜか役人の独断専行で、コッソリ計画が進められていたんだな」という創価本部の佐藤総合青年部長の発言が掲載され、「座談会」出席者として創価学会・秋谷会長、青木・原田副理事長ら幹部の写真まで掲載されていた。
私が市議会決算委員会で、この箇所を指摘し「この記事は事実か」と質したところ、市側は「そのような事実はありません」と明確に答弁し、「聖教新聞」記事がデタラメであることははっきりした。公明市議らもこの衝撃的な質疑応答を聞いていたが、ヤジを飛ばすことなく静まりかえっていた。
「朝木明代議員殺害事件」の真相究明の立場をとっている遺族の朝木直子議員や同僚の私が、この保育園を支援しているから」とでもいいたいのだろうか?
ところで、全国に衝撃を与えたこの判決が言渡された本年2月末をはさんで、1月から3月にかけて、この保育園の保護者の一部、保育園職員の一部、外部の人間らが共謀して計画的に、りんごっこ保育園の認可の取消を狙った、不穏な動きのあったことを強く指摘しておく必要がある。詳細は省くが、すでに職員の中にはこの動きに関与した事実を書面で認めた者もいるほどなのである。
東京地裁判決は、これらの邪な動きを看破していたかのようである。担当所管の児童課の中にも彼らと連動するかのような者までいる。朝木明代議員殺害事件の起きた東村山市について、事件の半年前、週刊新潮は「創価学会に占領された東村山市役所の歪み」(95年2月9日号)という記事を掲載したが、なお東村山には未解決の課題が山積している。
東村山市議会の構成は、自民系9、公明6、共産5、民主2、草の根(矢野、朝木)2、生活者ネット1、その他1で、自民系は単独では、予算を可決するために必要な過半数に足りない。 (東村山市議会議員 矢野穂積)
【資料】 「創価学会本部ぐるみ」の動かぬ証拠
(「聖教新聞」2003(平成15)年4月23日付け4面記事より
関係部分抜粋)
「 奇怪極まる騒動
原田 そういえば最近も東京の東村山市で、保育園に絡ん だ問題が、マスコミざたになっているな。
杉山 月刊誌(※実は、近くの書店では販売されていない 「月刊TIMES」で創価学会擁護の御用記事を毎号掲
載)でも大々的に報道されていた。何でも、市内の保
育園の新設計画が市議会で問題になった。
佐藤 ところが、だ。年間約8000万円もの補助金が出る予
定の保育園だというのに、議会や保育関係者には一
切、報告もなし。なぜか役人の独断専行で、コッソリ計
画が進められていたというんだな。」
原田 それだけ多額の公金が使われるということは、一種の 公共事業じゃないか。それを議会にも何も知らせないな んて、おかしいじゃないか。
杉山 当然、議会が厳しく追及した。ところが市の役人は“ま だ計画が固まっていない”の一点張り。事業者の名前 どころか、保育園の名前すら言おうとしなかったと言う んだ。
青木 誰が見たって奇怪千万だな!
佐藤 その後、驚くべき事実が発覚した。この保育園の事業 主というのが、何と、ある市議会議員の関係者だったと いうんだ。
杉山 市議会で問題となった時も、この市議の一派だけが、 なぜか、大騒ぎだった。
佐藤 月刊誌(※前記「月刊TIMES」)「不透明というよりも、
むしろ不正行為に近い決裁までの経過」等と厳しく糾弾 していた.
原田 いや、誰が聞いても不可解極まる話だ。」
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