民主政権に戦々恐々の自動車業界、エコカー減税見直しを懸念

2009年 09月 11日 18:24 JST
 

 [東京 11日 ロイター] 自動車業界が民主党の出方に戦々恐々としている。ガソリン税などの暫定税率が廃止されると同時に、エコカー減税などの自動車販売を促進させる政策も廃止される可能性があるからだ。

 廃止となれば、せっかく上向いてきた自動車販売に冷水を浴びせる可能性もあるだけに、業界は新政権の動向に格段の注意を払って見守っている。

 「おかげさまで13カ月ぶりに新車販売が前年比でプラスになりました」──。日本自動車工業会(自工会)の青木哲会長(ホンダ(7267.T: 株価, ニュース, レポート)会長)は7日、衆院選の結果報告で芝大門の自工会を訪れた麻生太郎首相に対して、今年4月導入されたエコカー減税と新車購入補助金について謝意を表明した。

 しかし、民主党中心の連立政権が誕生し、ガソリン税や自動車取得税、同重量税の暫定税率撤廃が実現されれば、代わりに自公政権の産物であるエコカー減税は撤廃される可能性がある。加えて補助金は来年3月末までの1年間限定措置で、多数の新車は実質値上げとなる可能性がある。

 4月に導入されたエコカー減税により、今後3年間は自動車取得税と同重量税が、ハイブリッド車は100%の免税、ガソリン車は最大75%の減税となっている。来年3月末までは、環境適合車に買い換えた場合最大25万円の新車購入補助金を取得できる。

 一方、民主党方針では自動車取得税や同重量税の暫定税率が来春にも撤廃され、すべての自動車は、新車購入時の両税が50%軽減される計画だ。代わりに、「自公政権による暫定税率維持と引き換えに自動車業界が勝ち取ったエコカー減税は見直される可能性がある」(トヨタ自動車(7203.T: 株価, ニュース, レポート)幹部)と見る向きが多い。現在売れ筋の車種の多くは75%、100%減税対象車のため、来春に実質値上げとなり消費者の購買意欲に大きく響くと懸念されるゆえんだ。

 日本自動車販売協会連合会(自販連)が1日発表した8月の軽自動車を除く国内新車販売は、前年比2.3%増の19万8265台と13カ月ぶりに増加に転じた。内訳をみると、軽を除く新車販売に占めるハイブリッド車の比率は、昨年6月から今年3月まで3%前後にとどまっていたが、エコカー減税が導入され100%免税となった4月は8.5%に急増。その後も6月14.1%、8月16.5%と急激に比率が高まっており、エコカー減税と補助金制度が新車販売の回復をけん引しているのは明らかだ。

 そもそも暫定税率撤廃は、自動車税の簡素化と軽減を求めてきた自動車業界の意向に沿う中味だが、海外需要が冷え込む現状では、国内販売下支えのため「当初予定通り3年間のエコカー減税維持と補助金の延長を最優先で求めたい」(トヨタ幹部)のが本音だ。  続く...

 
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