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花もあらしも声からし12年2008年12月03日
∞サポーターズクラブ会長・藤倉さん 10年の雌伏を経て悲願のJ1昇格を果たしたサッカーJ2モンテディオ山形。歓喜にわくサポーターの中で、感慨ひとしおなのが、最も古いサポーターズクラブ「クラージュ」会長の藤倉晶さん(33)だ。苦楽をともにしたチームが昇格をかけて戦ったリーグ戦終盤。自身の行動がもとで今季終盤に観戦自粛を余儀なくされた。藤倉さんにとってもチームにとっても山あり谷ありの10年だった。 10月5日、本拠での福岡戦。頭を下げる藤倉さんに他のサポーターから厳しい罵声(ば・せい)が飛んだ。「もう来るなっ!」。仲間内からも言われていた。「今は大事な時期だ。お前に構ってる暇はないよ」 前身のNEC山形がモンテディオになった96年から、応援を続け、J2加盟の99年からはクラージュの応援リーダーを務めた。いわば、スタンドの「顔」だった。それなのに、悲願の昇格目前にして応援の最前線に立てない。観戦自粛も余儀なくされた。悔やんでも悔やみきれなかった。 事件は9月に起きた。チームは9月に入って、2敗2分けで3位に落ちていた。28日、J1昇格圏を争うライバル・仙台が、仙台市のユアスタで水戸と戦っていた。水戸の逆転勝利に興奮した藤倉さんは試合後、つい、仙台の選手にヤジを飛ばし、仙台サポーターと騒ぎを起こした。互いに示談はしたものの、海保宣生理事長が、仙台、水戸両クラブに謝罪する事態になった。 「12年間応援してきて、何でこんなときに」 失意の藤倉さんに選手の一人は、行為自体はたしなめつつ「ずっと応援してきてくれたのに、これで来られなくなったら俺たちもつらい」。サポーターの一部からも「俺たちの前だけでもいいから、コールとってよ」と声が上がった。 10月26日の湘南戦。天皇杯も含め3試合観戦自粛した後、おそるおそるNDスタに足を運んだ。白い目で見られているのを感じた。黙って座っていても愛するチームを間近に見られる幸せを改めてかみしめた。 11月30日の愛媛戦。藤倉さんはもちろん松山市のニンスタに乗り込んだ。もう最前線には立たない。それでも、昇格決定の瞬間、「頭が真っ白になり」笑顔で周りの仲間と抱き合った。次第に顔が赤くなり、顔をぐしゃぐしゃにして大泣きした。そして、集まった300人以上のサポーターを見て言った。「モンテも強くなったし、最初は10人くらいしかいなかったサポーターも、四国にまでこんなに来てくれるようになった」 「本当に長かった。昇格できないかもと思った瞬間もあったけど、12年間応援してきてよかった」
マイタウン山形
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