超微量の法則
ホメオパシーの2番目の大きな特徴が、「超微量の法則」だ。
詳細は後述するが、ホメオパシーでは、同種の原則に基づいて、ある作用を持つ植物や鉱物を徹底的に薄めた液体をしみこませた砂糖玉「レメディー」を舌の下に入れる。
具体的な治療方法はこれだけだが、このレメディーを作る際に重要なのが「超微量の法則」なのだ。これは、レメディーの原料となる鉱物や植物を徹底的に希釈し、元の物質がほとんどなくなるまで薄めることによって効果を生み出すというもの。
例えば、100分の1に薄められた原液を、さらに同じ方法で12回希釈していくと、分子レベルでは分析しても検出されなくなる。
つまり、物理的な作用はない。薬のように体内に物質を注入して、その物質が体内で化学反応を引き起こして体に変化を起こすというものでは全くないのだ。
西洋医学に慣れきった思考では非常に分かりづらい話なのだが、元の物質の「パターン」のようなものが残っていて、それが体内の症状に共鳴し、自己治癒力を高めると考えられている。
そして面白いことに、薄めれば薄めるほど効果は高くなるという。
小池医師は言う。
「これは西洋医学的な方法論では説明がつかない領域になります。100人いれば100人の解釈があるでしょう。ただ、濃度によって効果の違いがあるというのは、ホメオパシーだけの考え方ではありません」
「セントジョーンズワートというハーブは通常、気持ちのアップダウンを調整するので鬱に有効なのですが、ホメオパシーのレメディーとして用いると、指を挟んだ時の痛みに効果があります。また、漢方でも化学薬剤でも、濃度を変えることで効果を変えることがあります」
「ただ、ホメオパシーでは元の物質が限りなくゼロになるので、物質そのものが変化を与えているわけではないので、そこの部分が西洋医学的な考え方では理解しづらい部分ですね」
元の物質は限りなくゼロなので、安全性は高い。何もないのだから、常習性も生まれず、子供でも高齢者でも妊婦でも安全性は高いと言える。しかし一方で、ホメオパシー独特の副作用のようなものにも注意したい。
震盪の法則
3番目の特徴が「震盪(しんとう)の法則」。これは、レメディーを作る時に、激しく振って作るのだ。振ることによって効果が高まるという。
例えば、熱の症状に使うレメディー「ベラドーナ」の作り方を見てみよう。まず最初に高熱を出す作用を持つベラドーナという花から原液(抽出液)を作る。その原液を蒸留水で希釈し、その割合は1対99とする。
それを振って、叩いて、震盪させる。こうして100分の1に薄められたものを、同じ方法を用いて希釈を12回繰り返す。元の物質が検出されなくなったものを直径5ミリにも満たない砂糖の粒にしみこませる。
「なぜ震盪が大事なのかは科学的には解明されていませんが、これがあるから、ホメオパシーが成り立ちます。例えば、希釈されれば有効性を持つということになれば、ある植物の原液を1滴、湖に入れただけで、湖の水は有効性を持つことになります。そうならないのは、震盪が重要だからです」(小池医師)
ホメオパシーがどのような症状に有効なのか、また、どのような用い方をするのかについては、次回、詳しく紹介することにしよう。
編集部注:この治療法に関しては古くから世界中でその効果について様々な議論がなされてきました。一部では科学的根拠が欠如している点から呪術的治療法と攻撃されることさえありました。そうした議論をしっかりと踏まえつつ、2回目は現実の治療現場で何が起きているのかをリポートします。
タイトル変更:2009年9月8日、「世界で最も安全な医療」から「自然治癒力を高めるホメオパシー」に変更しました。
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