その人に合ったレメディーの見つけ方
では、どうやってその人に合うレメディーを見つけるか?
「診察が一番重要です。まずかなりの量の質問書を患者さんに渡し記入してもらいます。さらに質問を重ねながら、その人を規定する象徴的なキーワードを探します。これをルブリックと言います」
「例えば、夜中に咳が出るとか出ないとか、太っている痩せている、物を食べると調子が良くなる悪くなる、コーヒーが大好き、タバコが大好き、あるいは過去のトラウマなどなど、精神的なものも含めた、その人を規定する象徴的なキーワードです」
「これを使って、レパートリーゼーションと呼ばれる検索を行います。辞書が何十冊も入っているような膨大な量なので、コンピューターを使って、検索します。そこからヒットするレメディーが出てきたら、さらに患者さんの話を聞きながら、絞り込んでいきます。それを使って、効けばそれを用い、効かなければまた変えるという、トライ&エラーで決め込んでいきます」
このように、レメディーの選択は簡単なものではないのだ。今、ネット上で簡単にレメディーを購入できるサイトもあるが、その人に合ったものを選び出す困難さを考えると、安易な入手は意味がないのではないかと危惧してしまう。
「日本では今は、何の制限もありませんが、国によっては医者が処方すべき医療扱いの国もあります。全部を制限する必要はないと思いますが、まだ日本人はホメオパシーと出合って日が浅いので、どう扱ってよいのか、これから模索するという段階だと思います」
ホメオパシーが抱えるリスク
最後に副作用について触れておく。副作用と書いたが、西洋医学の副作用とは若干異なり、むしろリスクと言った方が適切かもしれない。2つある。アグラベーションとプルービングだ。
アグラベーションは、症状が改善する段階で、かつての悪い状態に一過性で戻る状態を指す。その症状は過去に経験したものであることが一般的だ。
もう1つは、プルービング。これは、本人に今までなかった新たな症状が出てくること。その症状は、レメディーそのものの特徴と同じだ。例えば、ベラドーナというレメディーの特徴であるズキズキする頭痛が、ベラドーナを服用して、初めて生じるというようなことだ。過敏な人によく見られるという。
「アグラベーションやプルービングという言葉は、安易に用いるべきではないと思います。その症状が、アグラベーションでもプルービングでもなく、ただの症状の悪化だった場合、安易にこの言葉を使っていると、症状を放置して悪化させる危険性があるからです。その見極めはかなり難しいので、やはり医学的な判断が重要です」(小池医師)
だからこそ、冒頭で記したように、西洋医学を学んだ医者の判断が重要なのだ。
なお、レメディー自体の価格は驚くほど安い。ただ、保険適用外なので、診察代がやや高くなる。診察代がかからないことが多いネットでの売買が流行るのも、こうした理由が1つ挙げられるかもしれない。
ホメオパシーについては、まだまだ疑問や謎や質問したことは多いのだが、ひとまずここで筆をおく。いずれにしても、ホメオパシーをどのように捉えるかは、個々の判断にお任せしたい。
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