様々な症状に有効
前置きが長くなった。ホメオパシーの内容に戻ろう。最終回となる今回は、どのような症状に有効なのか見てみたい。まず一番大事なことは、次の点だと、小池統合医療クリニック・小池弘人院長は強調する。
「事故や、インフルエンザなどの感染症、脳梗塞や心筋梗塞など緊急を要するもの、治療方法が明確なものは、現代医学を最優先すべきです」
「そのうえで、身体的な症状はもちろん、精神的な症状にまで、幅広く対応する。花粉症やアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患、喘息、リウマチ、咳、頭痛、風邪、喉の痛み、月経痛、乗り物酔い、打撲、捻挫、やけどなどなど実に多種多様で、特定の疾患だけに絞られるものではない」
「特に、心身相関しているような症状に関しては、かなり有効です。ただし、うつ病や統合失調症など症状がひどい場合は、化学薬剤を併用すべきだと思います。当医院では、精神科は標榜していないのでやりませんが」(同氏)
病気を見るというより人を見る
どの症状に有効か、ということを書いたが、厳密に言うとこれは正しくない。というのは、ホメオパシーは症状そのものをピンポイントで狙い撃ちして改善するというよりも、その人全体の気質や体質や性質に作用して、同種の原理によってアンバランスを是正し自然治癒力を高めるという考え方なので、全体的に改善されるのだ。
「その人自身に類似したレメディーを選んで投与するので、1人につき1つの症状に対応するものではありません。そのレメディーがフィットすれば、狙った症状だけではなく他の症状も改善されることがあります。つまり、重要なことは、その人を深く理解することなのです。そのうえで、咳にはコレ、食べすぎにはコレというふうに対応します」(小池医師)
どうやってその人を知るか、という点については後述するとして、この独特の考え方についてさらに補足したい。小池医師の説明をさらに続ける。
「同じ頭痛でもAさん、Bさん、Cさんはそれぞれ違います。頭痛という一くくりでレメディーの選択はできません。群発頭痛はコレ、偏頭痛はコレというふうに、西洋医学的な1対1の対応ではないのです」
「例えば、ある女性が頭痛を訴えてきたとします。そこで見るべきものは、症状だけではなく、その人の気質のようなものを見ます。気位が高くツンとしたような女性の頭痛と、男性に媚びたり自分を可愛く見せるような女性の頭痛と、きれい好きで物事をきっちりと考える女性の頭痛と、疲れ気味で家族と一緒にいても1人になりたいような女性の頭痛では、レメディーはそれぞれ異なります」
「つまり、どんな頭痛かというよりもその人をどれだけ理解できるかが大事なのです。そして、その人にふさわしいレメディーが見つかれば、その人の持つ諸症状に有効です。だから、西洋医学的な医療体系の考え方をしていては、分かりづらいのです」
「その点、漢方は似ていて、その人の脈や舌を観察して、その人の『証』(症状を含めたその患者の状態)というものを立てて、漢方薬を出します。つまり、これが『病気を見るというより人を見る』という伝承医学特有のポイントなのです」
次ページは・・・ その人に合ったレメディーの見つけ方 では、どうやってその人に合うレメディーを見つけるか? 「診察が一番重要です。まずかなりの量の・・・