元在日朝鮮人3世で76年に北朝鮮へ帰国したのち、昨年脱北して現在は韓国に住む金潤(キムユン)さん(46)が11日、東京都内で会見し、金正日総書記らに関する発言を無断で記事にされたとして、産経新聞に抗議したことを明らかにした。「実名で記事にされ、北朝鮮に残した家族に危害が及ぶ恐れがある」と話している。
金さんは兵庫県出身で、14歳で祖父に連れられ帰国。北朝鮮では妻(49)、息子2人と暮らしていた。しかし、外貨獲得ビジネスに失敗するなどして昨年、家族を残したまま脱北し、韓国へ逃れてきたという。
金さんによると、今年7月半ば、「講演の打ち合わせ」の名目で産経新聞記者とソウルの飲食店で面会。金総書記やその親族などについて聞かれ、答えた内容が8月1日付の産経新聞に掲載された。掲載後、家族の消息を調べたところ「監視対象に置かれている」との情報が得られた。金さんは「記者の名刺はもらったが、打ち合わせの中の雑談として話した」と主張。産経新聞社広報部は「事実関係を確認の上、対処する」としている。
毎日新聞 2009年9月11日 20時49分