健診もワンコインの時代に 医療機関も赤字覚悟の“大出血”

フルメニューでも1500円

2009.09.08


「ケアプロ」中野店【拡大】

 血糖値や中性脂肪など、気になる検査項目は随時チェックしておきたい。が、「もっと手軽に健診が受けられたら…」。そんな要望から、最近注目されているのが、健診料のワンコイン(500円)制や券売機を導入している“プチ健診”。とっても便利な医療サービスだ。

【ワンコイン健診の専門店】

 昨年11月、東京・中野ブロードウェイ(ショッピングセンター兼住居ビル)内に国内初のワンコイン健診ショップ「ケアプロ」がオープンした。 各500円の検査項目は、「血糖値」「総コレステロール」「中性脂肪」「骨密度(血圧、体重、身長、BMIを含む)」の4つ。フルメニューなら割安の1500円だ。

 「東大病院の糖尿病病棟に勤務していた経験で、健康診断に行かないで気がついたら発症というケースが非常に多かった。そのような人たちが求めている健診は“安い、早い、手軽さ”なのです」と開業の目のつけどころを話すのは、川添高志社長(看護師)。

 骨密度以外は血液検査になるが、常駐するのは看護師だけなので受検者は自己血糖測定器で使われている微小の針を自分の指先に当て、そこから血液を採取する。ちなみに痛みはほとんどない。 検査結果が出るまで1−2分、フルメニューでも10分以内。結果履歴は携帯サイトからも見られる仕組みになっている。

 ウェブ制作会社のホットスタッフ(横浜市)が運営する健康情報サイト「ピースカフェ」では、ワンコイン健診を受け付けているクリニックの情報を掲載している。

 「糖尿病検診」「肺検診」「緑内障の早期発見」(健診料1000円)は横浜市内の4医院、「骨検診」は東京・新宿の1医院だ。週1回、糖尿病検診(予約制)を実施しているベイサイドクリニックの萬谷直樹院長はこう話す。

 「空腹時血糖値だけでは早期が見逃されやすいので、より正確なヘモグロビン検査(HbA1c)も加えている。病名が確定しないと保険が利かない検査なので、500円は非常にお得です」

【券売機で“立ちそば”感覚】

 気軽に健診を受けてもらおうと、1階ロビーに健診の自動券売機を設置した病院もある。その“プチ健診”を先月からはじめた小樽市立小樽病院(北海道)の検査メニューは、「痛風」「貧血」各500円から「前立腺」1500円までの6項目。「血糖」「コレステロール」「お酒の飲み過ぎ」の3点「おためしセット」は割安の1500円だ。

 「通常の健診ではすべて終わるのに2時間ぐらい必要。だが、気にかかる一部分なら、プチ健診で10分ほど。予想以上に好評で1日約10人の利用者がいます」(事務局)

 病気の早期発見、進行阻止は自分の心がけひとつ。お気軽健診を上手に活用したい。