新型インフルエンザが全国を上回るペースで広まった沖縄県で、救急病院への患者集中を防ぎ、診療機能を維持する取り組みが始まった。地域の診療所などが夜間・休日診療に協力、子どもの重症患者に備え病院ごとの人工呼吸器の稼働状況を相互に把握できるようにするのが柱だ。全国で患者の増加傾向が続く中、モデルケースとして注目される。
同県南風原町の県立南部医療センター・こども医療センター救急部門では、インフルエンザの症状がある患者を24時間体制で診察しているが、事故や病気で一分一秒を争う重体患者も運ばれる。現在、7人の医師が三交代で診察や治療に当たっているが、連日手いっぱいの状況だ。
こうした実情を踏まえ同県は県医師会とともに、救急病院への患者集中を防ぐため地域の医療機関に、輪番制や診療時間延長などへの協力を要請。個人病院やクリニックなど28施設を時間外診療可能医療機関として9月初めに公表した。
沖縄では子どもの重症例が相次いだことから、県は「小児医療情報ネットワーク」も導入。毎日午後4時に、小児救急に取り組む10病院から人工呼吸器の稼働状況を報告するファクスが県医務課に届く。職員が一覧表にして各病院に送付、重症児に対応可能な施設が把握できる仕組みだ。
県の担当者は「医療現場の一番の不安は、呼吸器などが十分確保できるかという点だ。重症の子どもをスムーズに搬送できるよう、ネットワークを活用してほしい」と話した。
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