福岡市議会の9月定例会が10日開会し、補正予算案など63議案が上程された。市立こども病院の人工島(アイランドシティ)移転計画で、市が施設整備や運営に採用するPFI方式(民間資金・手法の活用)の内容を見直して提出した関連議案をめぐり、議員から「病院にPFIが適しているか疑問」「中身が二転三転し信用できない」などの指摘が相次いだ。吉田宏市長は「厳しい財政を踏まえてコスト削減をしながら、安全・確実な病院運営もできるバランスを取った」と答弁した。
市は、PFIの対象業務を施設建設など8業務に絞る大幅な見直しを計画。関連議案として、PFI採用期間(19年4カ月)の事業費を173億9千万円とする債務負担行為を提出した。コスト削減効果については当初の「約30年で約85億円」から「約15年で約17億円」に下方修正した。
今林秀明議員(自民)は「医療は日進月歩で変化があり、長期契約が特徴のPFIが適しているか疑問」と指摘。対象業務の限定で大幅なコスト削減は望めないとして、「従来型の性能発注方式(の入札)や指定管理者方式で十分でないか」とただした。比江嶋俊和議員(共産)は「近江八幡市(滋賀県)や高知市で失敗例があり、病院PFIそのものに大きなリスクがある」と述べ、白紙撤回を求めた。
笠康雄議員(みらい福岡)は、建設など施設整備費の資金調達方法の説明が「民間資金5割、起債5割」から「起債10割」、今回の見直しで「民間資金1割、起債9割」と変遷した点を「どの手法が最良か、全く信用できなくなる」と批判。「PFIは民間資金10割が一般的。起債を増やすことは、市の財政に影響を及ぼしかねない」と続けた。
一方、三原修議員(民主・市民クラブ)は「安定的な病院経営が期待できる」と評価。市側は、(1)近江八幡や高知の例で明らかになった課題を考え、長期契約にリスクのある病院運営業務をPFIの対象から外した(2)償還期間が30年と民間資金の15年より長い起債を最大限活用することで、返済負担の平準化を図った‐と説明した。
=2009/09/11付 西日本新聞朝刊=