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主張救命率向上へ万全の体制を

公明新聞:2009年9月8日

地域の搬送・受入れルール構築急げ

あす「救急の日」

 あす9月9日は「救急の日」。また、この日を含む6日から12日までは「救急医療週間」と定められ、全国各地で応急手当ての講習会などの行事が実施されている。この機会に、救急患者が“たらい回し”にされる事件が相次ぐなど多くの課題を抱えている救急医療について、正しい理解と認識を深めたい。

 救急患者が病院側から受け入れを拒否されるという、本来あってはならない事態が絶えない背景には、救急医療の需要急増に追い付けない不十分な受け入れ体制がある。

 事実、救急搬送件数はこの10年間で約1.5倍の年間約500万件まで急速に増加。これに対し、入院を要する重症患者に対応する「二次救急」医療施設などは減少しており、勤務医の疲弊も指摘されている。

 一方、厚生労働省の調査によると、分娩施設の減少や、産科医・小児科医の深刻な不足に加え、約8割の総合周産期母子医療センターで新生児集中治療管理室(NICU)の病床利用率が90%超という実情にある。母体・新生児の搬送受け入れが困難である理由として「NICUが満床」と回答したセンターは9割を超えている。

 わが国は乳児死亡率が低い半面、1―4歳児死亡率は先進各国に比べ高いにもかかわらず、重篤な小児救急患者の受け入れ体制も大幅に不足している。

 こうした現状を打開し、救命率を向上するには、まず、円滑な搬送・受け入れ体制の構築が欠かせない。具体的には、これまで不明確だった地域の搬送・受け入れルールを定め、これに協力する救急医療機関を財政面で支援し、担当医師の処遇を改善することが肝要だ。

 このため、都道府県ごとに医療機関、地域の医師会、消防機関などが参画する協議会を設置し、地域の搬送・受け入れルール策定を目的とした改正消防法が10月30日に施行される。

 すでに東京都は都議会公明党の推進で、都内12地域ごとに「地域救急医療センター」となる医療機関を指定して受け入れ先の調整に応じ、見つからない場合は自ら受け入れるとともに、東京消防庁内にも調整役のコーディネーターを24時間常駐させ、救急隊が搬送先を選び始めてから30分以内の収容をめざす独自の対策を一部地域でスタートさせ、注目されている。こうした対策が全国で急ぎ進められることを期待したい。

 今年度補正予算では、救急医療や小児科・産科の医師不足に対応する基金も盛り込まれた。

基本法の制定めざせ

 最も大切な人命を救う救急医療は1分、1秒を争う。

 公明党は、先の衆院選マニフェストでも(1)真に緊急性のある人が通報から15分以内に医師に診てもらえる「15分ルールの確立」へ、救急医療基本法(仮称)の制定(2)全国400カ所へのER(救急治療室)整備の拡充(3)ドクターヘリの全国配備50機の促進(4)都市型ドクターカーの普及――などを掲げており、その実現に全力を尽くす決意だ。

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