教育
1紙だけの社説を高校授業で使用 道教委が問題視、実態調査 (09/11 06:55)
帯広市内の道立高が8月下旬、公民の授業で衆院選を取り上げた新聞の社説を活用したことをめぐり、道教委が「1紙のみの活用は特定政党の政策について偏った認識を生徒に与えかねない」と問題視し、全道の道立高を対象に新聞や雑誌を使った授業の実態調査を行ったことが10日、分かった。道高教組と北教組は「教育現場への不当な介入だ」として、道教委に抗議している。
道教委などによると、帯広市内の道立高は8月20日、3年生の公民科で、学校が設定できる科目「時事問題研究」の授業を実施。その際、担当教諭は衆院選公示日の18日の北海道新聞の社説を教材に活用し、文中の「政権交代」「マニフェスト」「郵政民営化」などの九つの言葉を空欄としたプリントを作り、生徒に配布、回答させた。社説は雇用や景気などの政策課題と、自民、民主など各党の政策について取り上げた内容で、教諭は授業では社説の論調には触れず、後日の授業で各政党の公約について生徒に討論させたという。
この授業に対し、自民党の小野寺秀(まさる)道議(帯広市)が8月末、「保護者から『自民党を批判しているように見える社説を教材に使うのはおかしい』との声が挙がっている」と道教委に指摘。これを受けて道教委は高校側を調査するとともに、今月7日、全道立高に、政党の政策に関する新聞の社説や雑誌記事を公民科で活用しているかどうか8日までに報告するよう通知を出し、回答を分析中。
調査に対し、道高教組は「教育実践の一部だけを取り上げ、不適切とするのはおかしい。創造的な実践が畏縮(いしゅく)してしまう恐れがある」と批判、北教組も「今回の授業には政治的偏りがあったとは言えず、教育への不当な介入」と反発している。
道教委の田端明雄学校教育局次長は「選挙期間という微妙な時期でもあり、1紙だけでなく、別の論調を紹介するなどの配慮が欠けていた。問題は『自民党を批判しているようにみえる』との外部の指摘のあった社説だけを紹介したことだ。北海道新聞の社説に偏りがあったとは言っていない」と説明している。小野寺道議は「保護者の指摘を道教委に伝え、授業の実態確認を求めたもので、教育への政治的介入の意図はない」と話している。
北海道新聞社は「公示日の社説は今回の衆院選の意義を論じたもので、特定の政党に偏ったものとは考えていない」としている。