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【コラム】2PMジェボムの脱退に韓国のネット文化を思う(下)

 ただ問題は、気まぐれでルールもへったくれもない韓国のネット文化だ。言葉じりをあげつらい袋だたきにし、騒動が起きてから四日後にジェボムがグループ脱退を表明すると、今度は4年前の別の書き込みが広まり始めた。「いま新たな考えが浮かんだ。1年ほど韓国で暮らしてみたい。JYPのレッスン生ではなく、平凡な韓国人として。どういうものか味わってみたい」。案の定、今度はジェボムに対する同情論がわき上がるという、笑えない状況が展開されている。ジェボムは、韓国語がつたなかった10代のレッスン生時代に掲載した4年前の書き込みで自身が韓国を去ることになるとは夢にも思わなかっただろうし、また今度は同情論がわき上がっていることに当惑しているだろう。

 韓国の歌謡界はとりわけパクリ批判が多い。しかし、それが原因で引退した歌手はいない。また麻薬やとばく、飲酒運転による人身事故などで逮捕されても、復帰するタレントも多い。しかしユ・スンジュンやジェボムのように、国家、民族、兵役の問題に引っかかると、芸能界を永久追放されることになる。

 ジェボムはたしかにミスを犯した。しかし、この社会に対する不満に満ちていたレッスン生時代に書いた何行かのフレーズに怒り、ジェボムを追放した大衆も、大人の態度とは言えないだろう。主役を演じる外国人に熱狂するほど自国の文化に自信を持った韓国人の心の底には、いまだに「米国市民権保持者」に対する反感のようなものが隠れているのではないだろうか。何人かのネット上の「戦士」が民族主義を外国人排斥と認識し、韓国の大衆をコントロールしているのではないか。ある若手歌手の追放は、われわれに多くの疑問を投げかけている。

チェ・スンヒョン記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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