2009年09月09日
ヘンな女を演じさせるのは上野樹里しかいない(岸谷) すごくかわいがってくれている……(上野) 岸谷五朗の初監督映画『キラー・ヴァージンロード』で 当て書きされた“わかりやすい”ヒロインを見事に演じきった上野樹里。 おもしろおかしく、危険な撮影にも果敢に挑んだ上野とそれを指示した岸谷…… そんなふたりがインタビューに登場!交錯するそれぞれの思いと撮影のウラ話を聞いた

「(映画監督は)いつかやるだろうなとは思っていました。19才で演劇を始めて、地球ゴージャスは立ち上げてからもう15年になりますが、その間ずっと演劇作りをしています。でも、映画という世界がすごく好きなので、演劇を中心に俳優人生が動いているなかで、いつかはやると思いながら、どこであてはまるかはわからなかったんです。それが、今ハマったかなという感じです」

 そこに至る経緯は、実力派俳優としての豊富な経験をもつ岸谷が“満を持して”というような力の入ったものではなく、勢いから始まったという。

「一緒に仕事をしているプロデューサーたちとの、ひとつ映画を作ってみようかみたいな、大きないたずら心から始まりました。やっちゃおうかって(笑)。『満を持してこの1本を』なんていったら、怖くてなかなか撮れないですよ。ものが重過ぎるんです、映画って」

 そんな本作は、観たことのないような驚きのオープニング映像で幕を開ける。その脚本には、演劇でのステージと客席との呼吸を知り尽くす岸谷ならではの、映画作品としては稀な、観客を笑わせて楽しませるための手法が盛り込まれる。

「脚本は、いろいろな原案、企画を集めたなかから、自分がいま一番おもしろがれるもの、お客さんに気持ちよくなってもらえるもの、をテーマに絞りました。すごく暗いだけの話とかいろいろあったんですけどね。ホントはそういうほうが好きなんだけど、それをやると、お客さんが3人くらいしか入らないから(笑)」

 そして、監督としての演出にも、岸谷の持ち味といえるかもしれない、演劇からのアイディアが入る。

「間とか呼吸は、演劇からのものが多いかもしれないですね。舞台を通してお客さんとキャッチボールをしてきていますが、この作品は、その見方とほとんど変わらないかな。一方的に映画の世界を伝えるのではなく、こうしたらお客さんの心はこう動く、こう喜ぶということを考えながら作っています」

 この映画の主人公は、なにをやってもうまくいかない天然のOL・ひろ子(上野樹里)と、ハイテンションで突き進む死にたい女・福子(木村佳乃)。ふたりの役柄へのハマリっぷりに、だれもが驚くことだろう。脚本は当て書きなのだろうか・・・。

「そうですね。演劇でも同じなんですけど、途中まで脚本を書いて、役が決まったところから当て書きをしています。ただ、その人に合うものではなくて、合わないものを書くとおもしろいものになってくるんです。それを探す作業をしました。まあでも、このふたりのツーショットはすごい力がありました。撮影以外でもふたりでよく一緒にいて話をしていましたが、ずっと観ていたい感じになるんですよ。非常に魅力のあるコンビです」

 その上野と木村が劇中の随所でみせる絶妙な掛け合いや間は、アドリブのトークのようにも見えるが、これはリハーサルを重ね綿密に計算し作りこまれたものだ。

「アドリブはなくすべて台本です。テストをして必要なところは加えたり、修正をしたりはしていますが、間も計算通り。非現実的なセリフは、確実な間がないと通用しないんです。それがないと非現実感がもたなくて、セリフの筋が通らない。逆にいうと、映画というリアリズムの世界の普通の会話のなかで、ちょっとヘンなセリフというのは、間でどうにでもなるんです。言い方ひとつでまったく違うんですよね」

 また、上野演じるひろ子は、その行動もちょっと普通ではない。山や野原を駆け回り、川でゴリラを背負ってバタフライで泳ぐ・・・。ハードなシーンもテンコ盛りの主人公への上野の起用理由を聞いてみると。

「こういうおかしな女をやらすのは、樹里しかいないなって思っていました。期待通りに演じてくれましたね。ゴリラを背負わせても日本一(笑)。脚本を読んで『役者冥利につきる、ぜひ背負わせてほしい』といっていましたから。撮影の日はかなり寒かったんですが、本人が川に入って演じています。僕は『がんばれー』とかいいながら対岸で見ていました。役者ってすごいなとか思いながら・・・(笑)」

 映画の主題歌は、福山雅治が岸谷の依頼を受けて書き下ろした新曲「旅人」。映画の伝えるテーマが、福山メロディに乗ってラストを締めくくる。この曲の制作過程では、ふたりによる打ち合わせが繰り返されていた。

「脚本の段階で話合いをしました。福山雅治はミュージシャンであると同時に俳優でもあるので、脚本の読み方が普通のミュージシャンとは違うんですよ。完成した曲には、そういうところが全部表れています。すごい才能ですよ。福山雅治の曲があって、樹里のアップの笑顔があって、映画が終わる。全部を包み込みつつ、それが作品の一部としてきちんと存在しています」

 主人公が“死体”を運びながら逃げるというストーリーから、ブラックコメディと思われがちな本作だが、後半には予想もしていなかったどんでん返しと新たな展開があり、ラストを締めくくるのはひろ子(上野)の笑顔。そこには、岸谷の深いメッセージが込められている。それは観る人によって戸惑いもあるかもしれない。それぞれ感じ方は異なるだろう。しかし、前向きな気持ちをもたらせてくれるものであることは間違いない。

「この映画は、最後にもう一回、話を最初にスキップさせたかったんです。つまり、彼女にとっては、それまでの出来事は、思いきり生きた証であり、実は幸せな時間だったんです。苦難を乗り越えて生きることが実は一番幸せで、明るくスキップすればすべて乗り越えられるというのがテーマなんです。また人として生きられるかもしれない、おもしろいことが起きるかもしれないという笑顔です」

(写真:原田宗孝)

岸谷五朗
1964年9月27日生まれ。東京都出身。
映画『月はどっちに出ている』(1993年)で、映画賞を総なめにしたのを皮切りに数々の映画、テレビドラマで活躍する、日本を代表する演技派俳優。1994年に寺脇康文とともに演劇ユニット「地球ゴージャス」を立ち上げ、すべての作品の演出を手がけるほか、近年は脚本も担当している。最近の主な出演映画は、『バッテリー』『西遊記』(2007年)『クローズZEROII』(2009年)など

【ストーリー】
幼い頃からいつもビリッけつの沼尻ひろ子は、リッチなイケメンと、とうとう結婚にこぎつけた。しかし、結婚式の前日、ひろ子はアパートの大家さんを誤って殺害してしまう。どうしても「結婚したい女」ひろ子は、死体を隠すという大胆な行動に出る。死体を捨てるために向かった富士の樹海で、ひろ子は何度自殺を試みても死ねない「死にたい女」小林福子と出会う。福子がひろ子の死体の処理を手伝う代わりに、ひろ子が福子を殺すという交換条件で、ふたりの逃避行が始まる!ひろ子はタイムリミットまでに幸せな結婚式を迎えることができるのか!?福子に生きていく希望は生まれるのか!?そして、死体の行方は・・・。

監督:岸谷五朗
出演:上野樹里  木村佳乃 寺脇康文 眞木大輔 小出恵介
主題歌:「旅人」(アルバム『残響』に収録)福山雅治
2009年9月12日(土)全国東宝系ロードショー
(C)2009 「キラー・ヴァージンロード」製作委員会

予告編 OFFICIAL SITE

▲このページの最初に戻る

 
特集&ピックアップトップへ
P R

オススメ リンク

インタレストマッチ -広告の掲載について
ランキング特集&ミュージック・女優俳優特集

音楽・エンタメ総合 アクセスランキング
9/9更新


【女性必見☆】不況だからこそ!賢い選択で理想を手にいれる!5円からはじめるボディメイキングとは…
PR
Popteen結以ちゃんも驚きの意外な結果が!女子高生が男子からもらって「困ったプレゼント」ランキング!
誰もが憧れるひと夏の恋。でも、どこでステキな恋に出会える?そこで、夏の恋に落ちたシチュエーションランキングを発表!
・公務員の満足度が高いのは…CHECK ・会社員の満足度が高いのは…CHECK ・主婦の満足度が高いのは……CHECK
実は私、誘われるの期待してたんだ!でも、○○○○○がしっかりしてないとダメよ。ココでチェックしてね♪
◆最新おしゃれサロン満載!【関東エリア】
◆今注目のサロン目白押し!【関西エリア】
→その他の注目エリア検索はこちらから
12星座占い 占いトップ