【北陸発】ETC特需一転 高速無料化でどうなる?2009年9月4日
販売店、在庫の山 『環境悪化』批判の声も高速道路無料化を掲げる民主党政権が実現することになり、自動料金収受システム(ETC)の行方に注目が集まっている。自民、公明政権の下でETCの搭載車は高速料金の割引を受けられるようになったが、無料化すればその“特典”はなくなる。一方、市民団体は高速の無料化は「二酸化炭素(CO2)の排出削減を目指す環境政策と矛盾する」と反発している。 「売れ残りの在庫は昨年の三倍です」。金沢市畝田東のカー用品店「ジェームス鞍月店」の片山拓店長(35)は声を落とす。「高速千円」などの特需を受けた五月ごろが売り上げのピーク。品切れを防ごうと、大量に商品を発注した。しかし、選挙戦で民主優位がささやかれた盆明け以降、在庫が少しずつ増え始めた。 片山店長は「九月下旬の連休に向けて売り上げが伸びてほしい」と期待する一方で、「もし無料化したら、料金割引のために買った人がかわいそう。新たな特典を設けてほしい」と訴える。 ETCは三月に高速の割引制度が始まり、政府も景気対策の一環として助成金を払ったことなどから需要が急増。商品が入れば売れる状態で、一時は予約してもすぐに手に入らないほどだった。ところが需要もほぼ一巡したところで、民主党への政権交代。 カー用品販売大手の「オートバックスセブン」(東京)は「選挙の影響はすぐに出ていないが、販売戦略を練っているところ」。メーカーの一つ、三菱重工業(同)も「生産の判断が難しい。政策を注視するしかない」と頭を悩ます。 民主党は、高速無料化以外にもガソリンが安くなったり、自動車の購入負担を軽減する税制上の優遇策を掲げる。全国二十五の環境団体が総選挙の公示前に「環境悪化政策だ」と撤回を求める共同声明を出した。 このうち「気候ネットワーク」(京都市)の田浦健朗事務局長(53)は「車の利用を促進する一方で、鉄道やバスなど温暖化を防ぐ公共交通機関を衰退させる」と批判。民主党が温暖化ガスを一九九〇年比で排出量25%削減という中期目標をマニフェスト(政権公約)に明記している点と「矛盾している」と指摘し「政策の整合性を取ってほしい」と再考を求めている。
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