アニメ制作ワークフローセミナー「進化し続けるヱヴァンゲリヲン新劇場版をささえるスタジオカラーの特撮CG/VFX」に行ってきた: 序破急
9月9日(水)に株式会社Too主催で行われたスタジオカラー デジタル部 トークショーイベントのレポート

株式会社Too主催のイベント「アニメ制作ワークフローセミナー『進化し続けるヱヴァンゲリヲン新劇場版をささえるスタジオカラーの特撮CG/VFX』」に参加してきた。トークショーのゲストは、スタジオカラー デジタル部から、CGI監督の鬼塚大輔さんと小林浩康さん、CGIプロデューサーと瓶子修一さん。
-
アニメ制作ワークフローセミナー/ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 メイキング
内容は、Autodesk 3ds Max、Pencil+ 2等のツールを実際に使用しながらの簡単なセミナーの後、具体的な導入事例としてスタジオカラーの『ヱヴァ新劇場版:破』を取り上げ、CGの話題中心のトークショーが行われた。なお、以前にもスタジオカラーはAutodeskとHPのホームページ上で、導入事例として紹介されていた。
- 関連記事
- 新しい 「エヴァンゲリオン」の世界を短期間で再構築した3ds Max
- HP Workstation 導入事例紹介 株式会社カラー
冒頭では『破』本編からCG活用シーンが抜粋された予告編的な映像が流され、トークショー中には、数は多くはなかったが本編映像や参考資料が上映された。
気になった発言をメモしたので紹介する。例によって、ヘンな勘違いなどがあるかも知れないが、あしからず。敬称略。
- 『破』の総カット数は欠番を除いて「1669」。そのうち、3Dは「417」、2Dは「292」、モニターは「200」。総テイク数は「7400」超。
- モニターワークはコンピューターグラフィックスのようなものが多い。「庵野さんが好きなんでしょうね」
- 監督陣の希望に添うレイアウトが切れるアニメーターは少ない。
- 取材箇所は「50」超。宮古島から北海道までロケハン。道すがら、車で移動中にも工場や踏切を写真撮影。常にシャッターの音がした。
- 小林は移動中に寝ていて怒られた。
- 参考写真は「176,071枚」、ファイルサイズにして「485GB」、カラーのサーバーを切迫した。この中に庵野が撮ったものは含まれていない。
- 参考写真を制作進行はジャンル分けの為にタグ付けした。「一時期、それだけが仕事になっていた」
- 「CGIは特撮であれ」、「特撮を極めよ」という観点から、ミニチュア模型を大量に使っている。
- 「社長(庵野)の趣味なのか資料なのか、NゲージやHOゲージが大量に購入された」
- 「庵野さん、色々やってるけど、あの車(ミサトのルノー・アルピーヌA310)、好きじゃないでしょ」と鶴巻和哉がけしかけ、大破したA310に代わって、『帰ってきたウルトラマン』の「マット・ビハイクル」に乗り換えることになった。千葉まで参考写真を撮りに行った。
- 庵野自ら、勝手にホームセンターの駐車場で撮影会。
- その後、1/18の「マット・ビハイクル」ミニカーを購入。「予約したから」と庵野から言われた。
- 庵野は標準レンズ、摩砂雪は広角、鶴巻は望遠が好き。三者三様。人によって「レンズを交換しろ」と言われる。
- 「特撮をもっと勉強すべき」という庵野の意向から、東映作品を多く手がける「特撮研究所」のミニチュアセットと三池敏夫に取材。「三池さんは『キル・ビル』も手がけている。庵野秀明とタランティーノに愛されている」
- 特技監督の神谷誠から「CGだと何でも自由になってしまうので、実写の特撮にある制限(レンズ、バレもの)を取り入れたらどうか」とのアドバイスを受けた。
- NERVのアトリウム、エントランスのモデルは「丸ビル」。デザインは6バージョン目でOKが出た。ローソンを置く場所が他になかったので入れた。レイアウトに「ローソン置く?」と書かれていた。
- CGで作ったモブキャラの演技リテイクが多い。学校で男の子と女の子が一緒に歩いているところで、二人が近すぎて「次の日に噂になる」から少し離したりした。
- エヴァ初号機がクラウチングスタートの体勢になり、トラックバックするカットで、どうしても作画だと動画との兼ね合いで動きのタイミングが合わなかったのでCGに切り替えた。「本田(雄)さんが修正したり、頑張っていたがどうしても合わなかった。CGがまずくて作画に切り替えることは多いが、作画がまずい訳ではないけど、CGに切り替えることは珍しい」
- 実験的に3Dエフェクトを取り入れている。
- エヴァ仮設5号機の走りのカットは、ほぼ決まっていたが、リボルテックが出て、原型師の人が作ったポーズを庵野が気に入り、修正が入った。また、途中で『三百六十五歩のマーチ』の音合わせでシャッターが閉まるように、という注文も入った。
- エヴァ仮設5号機に関して「頑張ったのに、すぐいなくなった」
- 兵装ビルが落ち、煙が上がるカットは、3Dエフェクトと作画の2種類があり、直前まで庵野が悩んで、作画の方を選んだ。「Blu-rayでは差し替えられるかも知れないカットは多い」
- 「これからは修正が続く。(現在使っているのはAutodesk 3ds Max 2008と2009だが)修正は3ds Max 2010で」
そういえば庵野さんは実写版『キューティーハニー』の前だか後だかに、「ミニチュアがたくさん出てくる特撮ものをやりたい」を言っていたが、今回の『ヱヴァ新劇場版』でそれを実現した形になっていることを、改めて実感。アニメも実写も超えて、庵野さんは純粋に「特撮」がやりたかったんだなぁ。
- 前後の記事
- <<庵野秀明・樋口真嗣ゲストのイベント「GALACTICA サーガ補完計画」に行ってきた
コメントの投稿
トラックバックURI
http://johakyu.net/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/913
- 最新記事 (2009年09月10日現在)
-
- アニメ制作ワークフローセミナー「進化し続けるヱヴァンゲリヲン新劇場版をささえるスタジオカラーの特撮CG/VFX」に行ってきた
- 庵野秀明・樋口真嗣ゲストのイベント「GALACTICA サーガ補完計画」に行ってきた
- 『ヱヴァ新劇場版:破』の「大ヒット公開を祝う会」が開催された
- 分類一覧
-
- 月別一覧 (全記事)
-
- Powered by
- Movable Type 3.32-ja
- Access Counter
- 累計:

- 今日:

- 昨日:
