内縁関係のペルー人男女間に生まれた男児(3)について、日本人の男がうその認知をして日本国籍を取得したとして、神奈川県警国際捜査課と藤沢署は3日、3人を電磁的公正証書原本不実記録・同供用容疑などで逮捕したと発表した。県警によると、日本人父の出生後認知でも国籍取得を認めた1月の改正国籍法施行後、出生後の偽装認知による逮捕は全国で初めて。
逮捕されたのは▽男児の母で同県厚木市関口の工員、サオナ・ロハス・ジェシカ・アレハンドラ(33)▽同所の工員、正木成一(30)▽男児の父で同県大和市西鶴間8の無職、ヤマグチ・レイエス・ニイル・エステバン(40)--の3容疑者。
逮捕容疑は▽06年10月に男児の父親は正木容疑者であるとのうその認知届を厚木市へ提出▽08年11月に横浜地方法務局厚木支局へ男児の国籍取得申請書を出し、今年1月に不正取得--などとしている。県警によると、ジェシカ容疑者は偽装認知で在留資格を取得。ニイル容疑者は「ジェシカと子供のために3人で偽装認知を決めた」と認めているが、他の2人は否認している。
国籍法を巡っては最高裁の違憲判決(08年6月)を受け、結婚していない外国人母と日本人父の子も、出生後の認知だけで国籍取得を認める改正法が同12月に成立。「偽装認知を奨励しかねない」と議論になった。【中島和哉】
毎日新聞 2009年9月4日 東京朝刊