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きょうのコラム「時鐘」 2009年9月10日
若者が熱中する音楽はチンプンカンプン。そんな世代間断絶が続いて久しいが、貴重な例外の1つであるビートルズのCDが世界同時発売された
最新技術で処理された全14作品は、セットで買うと3万5800円。安い買い物ではないが、世代を問わず人気を集めているという。ビートルズの登場に若者たちは熱狂したが、当時の大人の多くは、マユをひそめた。絶叫と大音量、型破りで行儀が悪い いま金沢で記念館づくりが進む宗教思想家の鈴木大拙は違った。「なかなかハイカラだ」と評したと、元秘書に教わった。「彼らは東洋の洒脱(しゃだつ)をまねているんだ。窮屈な体制が嫌になってね」 90歳を過ぎた老大家が、大爆発したような音楽に、あか抜けた魅力を見いだした。たいしたものである。時代に窮屈さを感じ、反発をするのは若者の習いである。4人組の才能は、そこから新しい音楽を生み出した 若者たちの反抗も、時代を映す。いまは、二言目には「めんどくせー」。ハイカラでも、あか抜けしてもいない耳障りな騒音である。そう言わせる周囲も悪いが、あれはさっさとやめさせた方がいい。 |