◇…スポーツ報知の購読申し込みは、フリーダイヤル 0120-16-4341(イロ ヨミヨイ) まで…◇
◇…過去の記事は、ご使用のプロバイダのデータベース・サービスをご利用ください。…◇
漫才師・中田カウス(60)への脅迫状問題で、筆跡が似ているとして所属の吉本興業から関与を疑われ、芸能活動休止中の漫才師・前田五郎(67)が、同社と同社幹部に対し、民事訴訟の準備を進めていることが8日、分かった。前田はスポーツ報知の単独インタビューに応じ「このままでは犯人扱いされたまま終わってしまう。冤罪(えんざい)を晴らしたい」とし、これまでの舞台裏を激白。近く名誉回復と損害補償を求め、約1億円の損害賠償請求を起こすという。
休養発表から3か月半の沈黙を破った。前田が、46年間所属する吉本興業を訴える決意を固めた。
「警察がすぐに犯人を見つけてくれる。会社も『悪かった』と謝罪してくれると考えてた。長いこと世話になってケンカ売る気なんか毛頭なかった。辛抱してきたけど、冤罪を晴らすため、どうしてもやらんとしゃあない」
今年4月3日に中田カウス宅に届いた脅迫状。前田は同19日に大阪・なんばグランド花月でカウスに呼ばれ、脅迫状のコピーを机に投げられたという。
「『これ誰かの字に似てまんなあ』と。意味が分からん。『オレが書いたて言うんか』と聞いても『似てまんなって言うてるんや』と。脈絡のない話を繰り返して、オレの話、何も聞かんと出て行った」
5月15、22日には吉本幹部から呼び出され、脅迫状をカタカナにした文面を渡され、漢字を使用して書くよう求められたという。「ボクはやってないから書きません」と拒否したが、最終的に筆ペン、ボールペン、マジック、鉛筆で2枚ずつ書いた。22日は、ほぼ同一人物と鑑定結果が出たと言われ、翌23日には「仕事は以後、キャンセルする」と休養を通達された。
「ここで受け入れたら、認めたことになる。ボクは何もしてないから仕事を続けますと言うた。すると『会社の方で(仕事を)切る』と。おかしいと粘ったがアカンかった。犯人扱いされ、強制的に休養させられた」
6月に入り、前田は自ら大阪府警南署に取り調べを求めたが、吉本はストップをかけた。
「会社は『何もしゃべらんといてくれ』と言うけど、何もしてくれない。南署に行くと連絡したら『警察には行かんといてくれ』と頼まれた」
南署は7月に入って3度、前田を任意で参考人聴取。前田は筆跡を提出、ポリグラフ(ウソ発見器)検査も2度受けた。以降、調べはなく、インタビューに同席した前田の弁護人は「クロという結果が出なかったんです」と説明した。
また、8月中旬、前田が依頼した神戸大・魚住和晃教授による「警告書(脅迫状)の筆跡は、前田自筆の筆跡とは一致しない」という正式鑑定書が完成。同17日付で、弁護人が吉本に、同鑑定書と申し入れ書を送付し〈1〉名誉回復〈2〉休職期間の所得補償〈3〉完全な職場復帰を求めた。南署にも同鑑定書を送付した。
その後、吉本は「前田を犯人扱いしたことはなく、休養についても強制の事実はなく、捜査の推移を見守る」と回答。坂田利夫(67)との漫才コンビ「コメディNo.1」の解散発表については吉本と直接話し合う機会はなかったという。
「0・01%の望みにかけたけど…。怒りを通り越して情けない。その気もないのに芸人を辞めさせられようとしてる。ボクは、元のところへ、戻してほしいんです」
時折、強い口調で話す一方、今後の芸能活動について複雑な表情も見せた。
◆前田五郎(まえだ・ごろう)1942年4月8日、大阪市生まれ。67歳。本名・前田邦弘(まえだ・くにひろ)。63年、吉本新喜劇に入団。同年入社の坂田利夫と68年1月に「コメディNo.1」を結成するが、今年5月の休養決定を経て、8月31日にコンビを解消。娘の真希(30)、まみ(27)が新喜劇に所属。
(2009年9月9日11時10分 スポーツ報知)