静岡・掛川地方は、夜半頃まで雨が降っていたようだが、その雨も止み、ap bank fes’09の初日を祝福しているようだ。 オープニングは中島みゆきのカバー「糸」。今回のテーマは“原点回帰”で、「to U」でも「奏逢」なくこの曲をオープニングに持ってきたことに意味がある。Bank Bandのメッセージが会場全体に響き渡る。そして「07年も08年も歌いたかったけどしっくりこなかった。やっと今年歌えます」という櫻井のコメントと共にHEAT WAVEのカバー「明日のために靴を磨こう」を披露。5年目というひとつの節目の時を迎え、思うところがあったのだろうか。 駆けつけたファンの胸をそっとノックしているようだった。そして1人ひとりのココロの扉を開け、これから登場する様々なアーティストからの、様々なメッセージが少しでも“まっすぐ”届くように、道をキレイにならしてくれている、そんな感じさえした。 そしていよいよゲスト・アーティストが登場。トップバッターは中村中。「風立ちぬ」「働き者」「台風警報」の3曲をメッセージと共に情感タップリに披露。“強い想い”を“強く”伝える、ある意味ライブの“こけら落とし”としては最高のパフォーマンスだったのではないだろうか。 このフェスの常連、GAKU-MCは「Fight for YA right!」「手を出すな!」で客席の温度をさらに上げる。「白いカイト」「Hello, Again 〜昔からある場所〜」「音のない世界」、My Little Loverの曲は、緑に囲まれた野外がすごくよく合う。どの曲にも温かさと爽やかさを感じることができるからだろう。今回初の試みである、サブステージ“出島”での演奏は、客席からものスゴイ歓声が起こった。 初参加の福原美穂は、初めてということと、GREAT BANDをバックに緊張しているのかと思いきや、完全に客席をつかんでいた。櫻井が「うらやましい」という彼女の伸びやかで圧倒的な声に、耳の肥えているap bankファンも大ノリだった。「CHANGE」「HANABI SKY」とアップテンポの曲でつかみ、最後は印象的なバラード「優しい赤」でしめた。 どのタイミングで歌うのかと思っていた忌野清志郎さん(RCサクセション)の曲は、第2部のスタートでのBand Bandによる「スローバラード」。名曲を、Bank Bandのダイナミックだけど繊細な演奏と櫻井のボーカルがさらに素晴らしいものにした。続いて登場した大塚 愛は「バイバイ」からスタート。そして「小林(武史)さんにどうしても歌いたいとお願いをした」という「ネコに風船」を披露し、「愛」では櫻井、小林と共に出島に移動。CMでもおなじみの曲だけに口ずさんでいる人も多かった。 そしてひと際大きな声援に迎えられ登場したのが、ポルノグラフィティの2人。「今宵、月が見えずとも」「リンク」「ハネウマライダー」と3曲のパフォーマンスだが、きっちり、期待通り盛り上げてくれた。さすが日本屈指のライブバンドの異名を持つ2人だ。ポルノの曲はイントロが流れた瞬間、そこにいる全ての人の体温が上がる、そんな気がするほど客席が一気に“アガる”。「ハネウマライダー」では全員がタオルを頭の上で振り回し、その画は圧巻だった。 2コーラス目に入ってもタオルを振り回し続けている客席に、「タオルはサビだけでえ〜よ〜」と昭仁が律儀に、さりげなくしゃべる。昭仁は「3年前にこのフェスに出さしてもろうた時には、地球に優しい人間になると宣言して帰ったのじゃが、どうしてもその気持ちを忘れてしまい、いまだに地球に優しい人間になれてません。ちゃんと謝っておきます。小林さん、櫻井さん、すみません。だってね、こういう場に呼んでもらってステージに立つ立場なのに、こんなえーかげんなことではいかんと思うけど、日常に帰ると忘れてしまうんです。ステージではいいこと言うけど、日常に戻るとなかなか出来ない。3回目、めっちゃいい思い出、最高の思い出にして、この思いを忘れんようにしたい。」と広島弁で正直に(?)語り、会場を沸かせた。曲のよさ、パフォーマンスのカッコよさと、このいつまでも変わらない素朴な広島弁とのギャップが、彼らのイイところでもある。 (文:編集部)
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