被告母に「愛してますか」 さいたまで裁判員が質問外国人が初めて被告となった裁判員裁判の第2回公判が9日、さいたま地裁で開かれた。強盗致傷罪に問われたフィリピン人の男(20)=事件当時(19)=の母親(40)が弁護側証人として出廷。女性裁判員は「息子さんを愛してますか」と質問し、母親は「愛してます」と答え涙をみせた。 大谷吉史裁判長は当初、通訳を介した質問にタガログ語で証言するよう母親に求めたが、弁護側が日本語で話すよう強く希望。裁判員に与える心証を考慮した可能性がある。裁判長が認めたため、母親は通訳を介しタガログ語でも質問を聞いた上で、大半の質問に日本語で答える異例のやりとりとなった。 地裁によると、被告と母親は閉廷後の廷内で接見が認められ、裁判長と検察側、弁護側が立ち会ったという。 母親の証言に先立ち被害者の男性会社員(27)の証人尋問も行われ、会社員は高さ約2メートルのついたてで囲われた証言台で「(被告ら3人に)四方八方から殴られ、しゃがみ込んだが攻撃はやまなかった」などと話した。 検察側が、襲撃直後の血だらけの会社員の写真をモニターに数分間映し出すと、熱心にメモを取る男性裁判員も。2人の女性通訳は検察側と弁護側の尋問を分担し、質問と証言をタガログ語に逐一通訳していた。 検察側の冒頭陳述によると、会社員は昨年12月19日夜、さいたま市の路上で被告ら少年3人に襲撃され重傷を負い、約3万円入りの財布などを奪われたとされる。弁護側は起訴内容を争わず、情状酌量を求めている。 【共同通信】
|