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kmoriのネタままプログラミング日記 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2009-03-06

[][] 民主党経産省案よりさらに邪悪な固定価格買取制度を採用  民主党は経産省案よりさらに邪悪な固定価格買取制度を採用 - kmoriのネタままプログラミング日記 を含むブックマーク はてなブックマーク -  民主党は経産省案よりさらに邪悪な固定価格買取制度を採用 - kmoriのネタままプログラミング日記

民主党は、家庭などが自然エネルギーで発電した電力を電力会社に買い取らせる「固定価格買い取り制度」の導入を次期衆院選マニフェストに明記する方針を固めた。太陽光に限らずすべての自然エネルギーを対象とし、発電した全量の買い取りを義務づけるのが特徴。地球温暖化対策と内需拡大の一石二鳥を狙う。

 3日午後の党地球温暖化対策本部で決定。独自の地球温暖化対策基本法案にも盛り込み、今国会提出をめざす。「環境のニューディール」具体化の第1弾とし、衆院選の目玉公約とする方針だ。

asahi.com(朝日新聞社):エコ発電全量買い取り義務化 民主マニフェストに明記へ - 政治

経産省の案だと余った電力だけを固定価格買取するという制度なのに対し、民主党案だと全発電量を買取らなければいけない。これで50円/kwhなんて価格に設定されたらたまったもんじゃない。費用負担をするのは電力会社ではなく、太陽光発電が導入できない(賃貸だとかそんな投資するお金を持たない)世帯なのに。

固定価格買取制度では規制により高い価格が守られているため、より低コストの太陽光発電システムを開発するインセンティブが失われ、コスト効率の悪い発電システムでもどんどん作られてしまう。その結果、純度の高い貴重なシリコンが大量に消費されてしまう。そのシリコンは、別のもっと役にたつ部品を作るのに使えたかもしれない。投入されたお金(労力)は、より良い太陽電池の開発にまわせたかもしれない。

規制で高い価格を維持し、その結果全く競争力のない製品しか出てこないという実例は山ほどある。国産の農作物なんかはその典型である。なぜ同じ愚を犯そうとするのだろう。



さて、以前の記事に対して日本のエネルギーは外国から買ってくる石油とウランなどで賄っていて、それが太陽光発電にする事で減るわけだから日本自体は豊かになる。長い目で見て低所得者層に優しいのはどちらか?というコメントをいただいたので返事を書いておく。

これは典型的な重商主義である。国内からだろうが海外からだろうが、安く買えるのが良いエネルギーであって、高いものは損である。国境をどこに設定するかで損得が変わるのだろうか?それは全くおかしな話だ。

どうしても国産エネルギーにこだわるなら、中国から石炭を輸入するのは止めて、閉鎖した国内の炭鉱を今すぐ復活させるべきではないのだろうか。債務で苦しんでいる夕張市を助けることにもなる。なんでそういう提案をしないの?



また、「CO2を排出しないエネルギーなのだからどんなに高価でも良いのだ」という意見もあるだろう。これは結局、炭素税としていくらまでなら払えるか?という問題に帰着する。世界的にみると、二酸化炭素1トン排出につき100ドル(約1万円)というのが相場のようだ。これはかなり過激な数字で、原油価格は今1バレル40ドル前後で推移しているが、これにその炭素税をかけるとほぼ倍の80ドルになってしまう。日本の環境庁は、これよりずっとひかえめな炭素1トンあたり2400円(CO2トンだと654円)という案を出している。

では、現在の日本の既設の電力はどれぐらいCO2を排出しているのだろうか。こちらのデータによれば、石炭火力で0.975kg-CO2/kWh、天然ガスで0.608kg-CO2/kWh。ほぼ排出が0に近い原子力を含めたそれぞれの発電方式のシェアを考えると、平均でだいたい0.5kg-CO2/kWhというところではないだろうか。つまり、「過激な」炭素税でいけば5円/kWhということになる。

電力のコストは石炭火力で5円から7円程度であるから、これに炭素税を足しても12円ぐらい。それに対して太陽光発電はいくらCO2を出さないからといっても50円というのはひどすぎるだろう。また、そもそもCO2を排出しない原子力発電が5円から7円なのだから、これは全く勝負にならない。


要するに、太陽光発電は今の価格のままではいらない子なのである。風力発電ならまだ考慮する余地はあるのだが。

satohhidesatohhide 2009/03/06 19:00 この「全量の買い取り」って意味不明ですね。自家消費した電力も買い取れという意味ならナンセンスでしょう。「太陽パネルだけじゃなくてバイオその他自然エネルギー全部」(の余剰電力)を買い取るという意味で言ったのを朝日の記者がを勘違いして書いた可能性ないんですかね。

ROM人ROM人 2009/03/06 22:51 はじめまして、いつも勉強させてもらっております。

以前シャープの社長が太陽光での発電コストが現在46円だが、これを3〜5年程度で23円にできる見込みがあると発言していました。こう言うことを考えると50円なんかで買い取ったら後に設置する機器ほどボロ儲け批判が出てくるのが目に見えているので・・・・・結局は引き下げざるを得なくなる。でも既に設置した機器は50円買い取りを前提にして設置してるでしょうから下げたら逆ザヤになる・・・・・

なんか・・・・・投資するお金持ちとしてもいつかは固定価格という梯子を外され、電力代を引き上げられる側は可処分所得を減らされ、また政策で需要が上下させられるメーカーも工場を建てまくっていいのかどうか判断がしにくくなる。(今欧州需要を当て込んだ新興企業は結構危機的状況です・・・・)

国の無駄使いを批判する人がこれに賛同したら・・・・本当に笑えますねw これじゃあただの所得移転制度です。

kmori58kmori58 2009/03/07 20:30 >satohhideさん
ドイツは全量買い取りだったと思います。民主党はそれを真似しているのでしょう。

>ROM人さん
先に設置した人の料金が高いまま10年も固定にされると困りますね。
暫時下げるようにすべきですが、経産省のも民主のもそのへんがどうなってるのか不明なのです。

kmori58kmori58 2009/03/08 02:53 しまった、s/暫時/漸次/ です。

ついでにブクマへの返事。
http://b.hatena.ne.jp/taitoku/20090306#bookmark-12404372
> 技術が高まるまで座して待つというのは政策としては悪手。技術を実用的にするのは製品としての普及

別に日本で買わなくても、ドイツを初めとしたヨーロッパ各国が買ってくれてるので、すでに需要は十分にあります。ただし、高い価格でも買ってくれるという状況では、画期的に安価なものを開発するインセンティブは生まれないと思います。
太陽電池は作れば作るほど安くなるとお考えなんでしょうが、現実には純度の高いシリコンを製造するプロセスがネックになり、生産量を増やそうとすると逆に費用逓増・収穫逓減に直面することになるのではないでしょうか。
現実にドイツは「我が国の太陽光発電量は世界一ィィィ!」と言ってますが、全発電量のたった0.4%にしかすぎませんし、それですら国内メーカーでは供給が間に合わず、日本や中国から輸入しているという状況です。

kazkaz 2009/03/22 00:35 昨年の原油高が一休みしただけで、化石燃料に関して日本は90%以上他国から頼っている状態。

これは食糧と同じく国家の安全保障の観点からみても良いとはいえないでしょう。

たかが一般k家庭100円程度。

短期的な損得計算よりも、長期的な国家戦略の観点から見ることが大事なのでは。

そうなった場合、今すぐにでも大胆な新エネルギー転換の戦略をとる必要があるのでは。

もっともドイツでは3倍、20年、余剰電力えではなく、発電全量によってこの産業は急成長して、雇用の拡大にもつながっている。

kmori58kmori58 2009/03/22 06:19 >kazさん
安全保障について言うなら、どのみち太陽光発電は石油の代替になりませんから、石油の輸入停止に備えるのなら備蓄する以外ありません。

で、短期的な損得計算抜きで自前のエネルギーを使うべきというのなら以前にも書いた通り国内の炭鉱を復活させるのが正解。採算が合わないというだけで国内でもまだ石炭は取れますし、雇用の拡大につながります。

太陽光発電による雇用拡大については、先に示した論文でドイツの状況が説明されていましたが、中国と日本に漏れています。おかげで日本のためにはなっていますが。

それから「たかが1世帯当たり月100円程度で」とおっしゃいますが、その金額で安全保障になるほどの発電量がまかなえるとお思いですか?
例えば日本の年間総発電量を1兆kWhとし、その10%、0.1兆kWhが太陽光発電になったとしてみましょう。その建設費用は約70兆円となり、単価を50円/kWhとするなら年5兆円を払わなくてはいけません。日本の世帯数を約5000万として、各世帯は年10万円を追加で負担する必要があります。安全保障にはほど遠い10%のレベルでもこれだけのコストになるんですよ。
結局、太陽光発電は現状では金持ちの道楽以上の何者でもないのです。少なくとも一桁は製造コストを下げないとダメです。

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