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イタリア:中国人の母国送金が突出 将来の「火種」予想も

 【ローマ藤原章生】イタリアで8月末、国家統計局や中央銀行の資料を基に、在住外国人による母国への送金額を算出したところ、過去9年で10倍にふくらみ、国内総生産(GDP)の0.4%にまで達していたことが分かった。中国への送金が全体の4分の1を占め、中国人1人当たりの送金額は他の外国人を圧倒している。地元紙は、「脅威」との見方に立って報道。中国人の流入急増は欧州先進各国に共通の現象で、将来の「火種」となることも予想される。

 統計をまとめたのは、北部ベネト州の職人や小企業でつくるレオーネ・モレッサ基金(02年創設)。

 それによると、08年の送金額は00年のほぼ10倍の約64億ユーロ(8600億円相当)で、景気が低迷しても上がり続けている。

 送金先は中国が全体の24%。フィリピン(14%)、ルーマニア(12%)、モロッコ(5%)と続く。

 1人当たりの送金額は年間1859ユーロ(25万円相当)だが、例えば中国人の繊維業者が集まる北部の町プラトでは、これが約8倍の1万5000ユーロ弱(200万円相当)に上る。プラトには推定1万5000人の違法滞在者を含む約3万3000人の中国人が暮らしている。

 イタリアには滞在を許可された外国人が約390万人おり、外国人の人口比は日本の約4倍。国籍では冷戦後の90年代に増えたルーマニア、アルバニア、モロッコ人の順だが、中国人は第4位だ。過去10年で急増し、現在約15万人。最近5年間で約8割も増加した。

 国家社会保障研究所によると、外国人は消費や納税で年間約50億ユーロをイタリア経済に貢献しているが、送金額はこれを約3割上回っている。商店開設や企業設立などの投資もあるが、統計を紹介した主要紙のコリエレ・デラ・セラ紙は、「中国人は持ち去るだけ」という論調だ。

 中国人はイタリア人が被害に遭う事件をほとんど起こさないため、東欧人に比べ治安問題で矢面に立たされることはない。しかし、与党連合の北部同盟幹部で欧州議会議員のサルビーニ氏のように「周囲と調和せず、金もうけばかりの中国人が一番問題だ」という意見も出ている。

 事情は他国でも同様だ。欧州連合(EU)の統計局ユーロスタットの推計によると、06年に加盟27カ国へ域外から流入した移民の母国は、中国がモロッコ、ウクライナに次いで3番目で、9万人程度だったとされる。

毎日新聞 2009年9月9日 20時46分

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