裁判員制度

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裁判員裁判:父親殺害未遂に「猶予」 家族の意向くみ判決--神戸地裁

 初めて親族間の事件を審理した裁判員裁判で、神戸地裁(東尾龍一裁判長)は9日、殺人未遂罪に問われた兵庫県明石市の無職、砂野政雄被告(40)に懲役3年、保護観察付き執行猶予4年(求刑・懲役5年)を言い渡した。裁判員裁判で執行猶予や保護観察が付いた判決が出た最初のケース。弁護側の最終弁論での主張と同じ量刑で、弁護側は控訴しない。

 東尾裁判長は「(裁判員と裁判官の)みんなで最後に、(被告に)どんな言葉をかけるか話し合った。自分に対する弱さがあるとの自覚を持ち続け、それを克服してほしい」と説諭した。判決後、裁判員6人と補充裁判員2人の全員が記者会見に臨み、「自分の家族と照らし合わせて考えた」などと話した。

 判決によると、砂野被告は今年5月、同居する父尚正さん(74)が自宅で就寝中、頭をガラス製灰皿(重さ500~600グラム)で2回殴り、約10日間のけがをさせた。

 執行猶予と保護観察を付けた理由を判決は「一日も早く帰ってきてほしいとの家族の声を最大限尊重すべきだ」と説明した。

 神戸地検の山根英嗣次席検事は「検察側の主張をほぼ認定したうえで、被告の更生にも配慮した適正で妥当な判決」と話した。主任弁護人の西田雅年弁護士も「被告の更生を考えてもらい感謝している」と述べた。東尾裁判長は「市民の感覚や良識が反映された充実した刑事裁判がなされた」とのコメントを出した。

 一方、大阪地裁(杉田宗久裁判長)では9日、裁判員裁判で初めてとなる覚せい剤事件の公判が開かれ、覚せい剤取締法違反(営利目的輸入)罪などに問われた神戸市垂水区、無職、二星芳樹被告(57)に対し、検察側は「社会の安全を大きく揺るがす多量の覚せい剤を輸入した重大犯罪」と述べ、懲役10年、罰金500万円を求刑した。弁護側は執行猶予付き判決を求めた。評議を経て同日午後4時半に判決の予定。【吉川雄策、牧野宏美】

毎日新聞 2009年9月9日 東京夕刊

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