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【静岡】静岡の地震 本の雪崩凶器に 独居女性下敷きで窒息死2009年8月13日 ワンルームに蔵書1000冊静岡・震度6弱地震により、マンションの自宅で崩れた本の下敷きになって死亡した静岡市駿河区、会社員池本美和さん(43)は、仕事熱心でサッカー好きの女性だった。漫画本を読むのが好きな一面もあった。 静岡南署や知人らによると、池本さんは父親が経営する葵区内の不動産会社に勤務し、事務を担当していた。独身で一人暮らしだった。 勤務先の同僚は「仕事態度はまじめだった。ここ1年間は、1日も欠勤していないと思う」と、熱心に仕事に取り組んでいた池本さんを悼んだ。「サッカーが好きだった。清水エスパルスのファンクラブにも入っていて、休日にはよく試合観戦に行っていた」と振り返る。 地震の前日は、午後6時ごろに会社から帰宅したという。 また同じマンションに住む30代の女性は「廊下やエレベーターですれ違うと、笑顔であいさつを交わしてくれた。気の毒です」とうつむいた。 マンションの管理人は「数年前に一度、部屋に入ったが、漫画雑誌がいっぱいあった」と話していた。 岩手・宮城でも同ケース今回の地震は、積み上げた大量の本が“凶器”に変わる恐ろしさがクローズアップされた。昨年6月の岩手・宮城内陸地震でも同様の死亡例があり、室内の安全対策が生死を分けた可能性もある。 静岡県警によると、死亡した池本美和さんは、地震のあった11日の午前9時50分ごろ、自室で本の下敷きになって死亡しているのを、心配して駆けつけた母親と同署員が発見した。 就寝中に被災したとみられ、体の上に本が高さ1メートルほども覆いかぶさり、顔も見えない状態だった。 死因は、胸腹部圧迫による窒息死。6畳のワンルームに1000冊以上の本があった。本は平積みにされたり、段ボールやプラスチックケースに入っていたりしていたという。 一方、宮城県警によると、岩手・宮城内陸地震で亡くなった仙台市青葉区の男性会社員=当時(37)=も、本の下敷きになって窒息死したケース。部屋の壁際には天井まで本が積み重なっていたという。 県災害対策課は「1冊の本は軽くても、まとまると重量がある。不安定な家具は固定するのが基本で、崩れやすいものを寝る場所に置かないようにしてほしい。高い防災意識を持って」と呼び掛けている。 静岡・駿河区の女性死亡と地震は無関係静岡市駿河区の無職の女性(89)が地震後の11日未明、自宅で意識不明の状態で倒れているのがみつかり、その後死亡していたことが分かった。静岡南署は12日、女性は病死と確認され、地震による死者ではなかった、と発表した。 同署によると、女性は地震直後、自室のベッドの下で倒れているのを同居の家族が発見した。近くの病院に入院したが、12日午後3時半ごろ、くも膜下出血で死亡。同署は、地震でベッドから落下して頭を打った可能性があるとみて調べていた。 東名下り開通車次々『よかった』
地震による路肩の崩落で通行止めになっていた東名高速道路の静岡−袋井インターチェンジ(IC)間は、13日午前零時から下り線のみ全線開通となり、待ちかねていた車両が次々にインターに乗り入れていった。 吉田町の吉田ICでは、順次開通していった静岡IC方面からの車が差し掛かる零時半ごろ、中日本高速道路の職員3人が遮断器を片付け、カラーコーンを取り除くなどして準備を進めた。 連絡を受けた直後、信号機を青にして誘導灯を振って開通させると、大型トラックを先頭に次々とゲートを通って本線へ向かった。 職員によると先頭のトラックは1時間ほど待っていたという。開通と同時にインターに車が押し寄せ、付近は一気に込み合った。富士市の製紙メーカー社員の男性(34)は機械の修理のため、岐阜県羽島市の顧客のもとに向かうと言い「うれしい。早く開通してほしかった。どの道も渋滞していたが、家族からの連絡で御前崎まで進んでいたのを吉田まで戻った。これで早く向かえる」とほっとしていた。 迂回8路線も特別割引適用中日本高速道路は12日、静岡・震度6弱地震の影響で東名高速道路が一部不通になっているため、一般道を利用して中央自動車道に迂回(うかい)する8路線を対象に、13〜16日の間、高速料金の上限を1000円にする特別割引を適用すると発表した。6時間以内の乗り継ぎを条件に割引の特例を認める。 特例対象は▽御殿場(東名)−須走(東富士五湖)▽清水(東名)−増穂(中部横断)▽富士(東名)−増穂▽西富士(西富士)−増穂▽富士−河口湖(中央道)▽西富士−河口湖▽富士−甲府南(中央)▽西富士−甲府南の8路線の各インターチェンジ(IC)や料金所間。 中日本高速は「料金所通過時には特例適用前の料金が表示されるので注意してほしい」としている。問い合わせは同社=フリーダイヤル(0120)922229。
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