県警が県下一斉の振り込め詐欺の防止キャンペーンに乗り出した。16日までの10日間、県下25署が、金融機関やスーパーなどでビラを配布するなど、啓発活動を実施する。長野南署では、振り込め詐欺への関心を高めようと、ちゃめっ気のあるグッズを配布。県内の振り込め詐欺は件数、被害額とも減少傾向だが、1件あたりの被害額が大きいこともあり、県警はあの手この手で撲滅を目指している。【小田中大、大平明日香】
長野南署は今回、地区防犯協会連合会と協力して、袋の表に「風邪も振り込め詐欺も 抵抗力」と印刷したマスク450個を用意。地域の大型スーパーなどで配布する。最近の振り込め詐欺では「風邪やインフルエンザで声が変わった、という手口が多い」(唐沢栄二・生活安全課長)ため、両方の意味をかけたグッズとしてマスクを選んだ。
同署はこれまでにも、身内を名乗るオレオレ詐欺対策として「自分の孫を思い出して」と孫の手を配ったり、「(詐欺の電話が来ても)頭を冷やして冷静に」と冷却パックを金融機関で配布したりと、シャレをきかせたアイデアを考案してきた。啓発活動のコンセプトは「どうせやるなら楽しく」(同課)。詐欺の最大の対策は、住民の意識向上だからだ。
同署管内の1~8月の振り込め詐欺の被害件数は8件(前年同期比1件増)、被害金額は約1100万円で、県内の警察署でワースト2位。唐沢課長は「キャンペーンを面白くすることで住民の注意を引き、詐欺の撲滅につなげたい」と「名誉挽回(ばんかい)」に意気込む。
県警振り込め対策室によると、1~8月の振り込め詐欺の発生件数は87件で、前年同期比136件減。被害額も8025万円で約7割減っている。
毎日新聞 2009年9月9日 地方版