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社長が訊く『リズム天国ゴールド』
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開発者篇つんく♂さん篇
1.ダメもとでアプローチ
2.リズム感は鍛えられる
3.「ノリ」ってなんだ?
4.ダンスレッスンを経て
5.気持ちのいいアクセント
6.幸運な出会い
3.「ノリ」ってなんだ?
岩田
いまお聞かせいただいたような
リズムについての考えは、
ミュージシャンの方、音楽の専門家どうしで
お話されたりすることはあるんですか。
つんく
たまにありますけど、
みんなあまり話を聞こうとしないです(笑)。
岩田
へぇー、そうなんですか。
つんく
たぶん「できない子を教える」っていう人が
あんまりいなんですよ。
たとえば、ある人が音楽家として
偉くなっていくと、その人のまわりには
どんどん「できる人」が集まってきますから。
とくに、「譜面のある世界」では、
その傾向がありますね。
小中高、と音楽の勉強をしてきたような生徒に
大学の教授がリズムを教えるようなことは
おそらく、ないでしょうし。
岩田
もともと、ある程度のリズム感がある人だけが
その道に進んでいるから‥‥。
つんく
それもありますし、教える教授たちも、
リズムをチェックされたことってないんですよ。
「キミは、うまくリズムにのれてないね」って
あまり言われたことがないと思うんです。
いざ、ダンスのレッスンを受けて、
「さあ、右から入ります」って言われたときに、
すっと足が動くかどうかは疑問ですね。
岩田
なるほど(笑)。
つんく
とくに、教育という現場においては、
音楽と、リズムとダンスは、
関係ないと思ってる人が多いんですよ。
「そこはつながってるんちゃうん?」と
ぼくは、思うんですけど。
岩田
教育の話というよりも
「大衆芸能の話」として
片づけられているのかもしれませんね。
つんく
はい。で、ロックの先輩たちがどうかというと、
やっぱり有名な人たちは、みんな、
自然に弾けて、自然に叩けて、
有名になってきた人たちなんですよね。
なので、やっぱりそれを
解釈したことがないんですよ。
岩田
ああ、悩む必要がないんですね。
当然、教えることもないし。
つんく
昔、ぼくが「太陽とシスコムーン」という
4人組のグループをつくったとき、
メンバーのひとりに
体操の元オリンピック選手がいたんですよ。
その子に歌や踊りの基礎を教えてるとき、
ぼくは彼女にこう言ったことがあるんです。
「たとえば何度も何度も反復練習して、
 999回目までは、できなかったのに
 1000回目でポーンと急に
 できるようになることがあるやろ?
 それと同じで、歌もリズムも、
 何回も何回も練習してたら、
 いつかできるようになるときがくる」と。
とくに彼女は厳しい練習をずっとやってきた
オリンピック選手でしたから、
「そういう経験、あったやろ?」と
ぼくは言ったんですけど、ぜんぜん通じなくて、
むしろ、ポカーンとしてるんですよ。
「あったやろ、体操とか、練習して、練習して、
 やっとできるようになった技とか、
 何回転宙返りみたいなこと、あったやろ?」
って言ったら、彼女は不思議そうに
「私、3、4回でできるんですよ」って言ったんです。
岩田
なるほど(笑)。
つんく
ああ、そうや、天才っていうのは
そういうことなんやなと思って。
ふつうの苦労とかないんやと思って。
もちろん、天才としてのジレンマとは
闘うとは思いますけど。
岩田
どうしてできるようになったかを
うまく説明できないわけですね。
つんく
そうなんです。
だから、人がやってるのを見るじゃないですか。
先輩とか世界のトップアスリートを見て、
イメージができたら、自分でやってみる。
で、何回かやってみたらできるんですって。
ああ、そうかぁって思うんですよね(笑)。
ほかの、苦労してきた女の子たちっていうのは、
ぼくの言ってることがわかるんです。
アイドルを目指してる子とか、
でも‥‥。
岩田
天才には教えられない(笑)。
つんく
そうなんです。
あと、教えるのもきっと苦手でしょうね。
「なんでできへんの?」
っていうことになりますから。
ぼくらは、できへんところから入って
うまくなっていこうという意識が強いから、
「まぁ、モーニング娘。くらいまでには
 踊れるようになるよ」という気持ちなんですね。
シャ乱Qというのも、
天才がひとりもいないグループでしたから。
みんなヘタッピだからこそ、いっしょになって
リズム感なり、グルーヴ感なりを出していくのが
おもしろかったりするんですけど。
岩田
ちなみに、
これを読んでくださっている人のなかには、
ゲームに関しては明るいけど
音楽に関しては必ずしも明るくないという人が
いると思うんですけど、
「ノリ」とか「グルーヴ」ということばというのが、
たぶん、なかなかイメージがしきれないと思うんです。
つんく
ああ、なるほど。はい、はい。
岩田
それを、あえて言語化しようとしたら、
どういうことになるんでしょうかね。
つんく
うーん‥‥人間ってやっぱり、体内時計というか、
もって生まれたリズムというのがあると思うんです。
たとえば多くの人は、1分間に60回から70回くらい
脈打っているわけじゃないですか。
だから、思ってる以上に、正確なリズム感というか
ルーティンが、本来、備わってるんですね。
岩田
多少、揺らぎはあるにせよ、
ある程度正確なリズムがある。
つんく
そうなんです。
誰しも、ある程度のルーティンリズムというか、
同じ周期でずっとループしているリズムというのを
自分で持って生きているんです。
それをうまく活かしている人が「ノリ」のいい人で、
そこから外れる人がドンくさい人なんです。
ただ、ドンくささというのは、すごく味になるので、
一概に、こっちがよくてこっちがダメ、
という話ではない。
岩田
機械のように正確なら
いいってものでもないんですね。
つんく
はい。あまりにも正確すぎると、
今度は味気ないんですよね。
やっぱり、タメたり、突っ込んだりするからこそ、
味というか、陰翳(いんえい)というか抑揚というか、
その人の持ち味みたいなものが出てくるので、
そういうものは非常に大事なんです。
ただ、前提として、自分のなかに
ループする根本的なリズムがあるということを
知ってるか知ってないかで大きく違うんですよ。
人間には、ある程度、ぐるぐる回ってる
リズムがあるんだということを知ってる人は、
知らない人よりもリズムをつくりやすいんです。
機械的に刻まれるリズムのあいだを
上手にすり抜けていくこと。
それが、いまはできなくても、
あるんだな、ということがわかってさえいれば、
「ノリ」とか「グルーヴ」は出てくるんです。
岩田
その意味では、リズムというものに
みんなが意識を持ちさえすれば、
日本中の人のリズムに関する力がすごく変わってくる。
つんく♂さんはそう信じてらっしゃるんですよね。
つんく
そうですね。
どんどんよくなると思います。
岩田
ひいては、日本にかぎらず、
あらゆる国の人のリズム感が
このゲームを通してよくなる可能性がある、
というわけですね。
つんく
もちろん、そのとおりです。
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3.「ノリ」ってなんだ?
4.ダンスレッスンを経て
5.気持ちのいいアクセント
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